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博報堂ヒット習慣メーカーズの中川悠と探る、マーケティングに必要な習慣化の秘訣

ベアーズが語る、家事代行の習慣化を実現するマーケ戦略【博報堂中川氏×ベアーズ後藤氏】

 博報堂 ヒット習慣メーカーズのリーダーで、マーケティングにおける習慣化の重要性を訴える中川悠氏が様々なマーケティング関係者と対談していく本連載。今回は、家事代行サービスを提供するベアーズで執行役員 事業推進本部長 CMOを務める後藤晃氏と、9割以上のユーザーが定期利用をする同社のサービスの間で、どのように習慣化の仕組みが作られているのかを語り合った。

ここ1~2年でLTV重視のマーケティングにシフト

中川:『カイタイ新書 -何度も「買いたい」仕組みのつくり方-』(秀和システム、以下『カイタイ新書』)の刊行を記念して、マーケターや番組プロデューサーに取材してきた本企画も3回目を迎えました(過去記事はこちら)。今回は家事代行サービスを展開しているベアーズの執行役員 事業推進本部長 CMOを務める、後藤晃さんに話をうかがいます。

左:博報堂 ヒット習慣メーカーズ リーダー 中川 悠氏 右:ベアーズ 執行役員 事業推進本部長  CMO 後藤 晃氏
左:博報堂 ヒット習慣メーカーズ リーダー 中川 悠氏
右:ベアーズ 執行役員 事業推進本部長 CMO 後藤 晃氏

 同書の中では、これからのマーケティングにおいて、継続的に使いつづけてもらうことが重要だと説いています。家事サービスを提供している御社では、サービスの継続に関してどのような考えをお持ちですか。

後藤:サービスの継続は非常に重要視しています。我々のサービスの90%以上が定期利用となっており、ここ1~2年でLTVに重きを置いたマーケティングを展開してきました。

 家事代行を頼まれる方の多くが、日々忙しい中で暮らしを快適に保つことに困難や課題に感じています。そういった方に対し、我々はご自宅をより快適な空間とし、お客様が心の余裕を感じられるよう、お客様感動度が120%となるサービスを提供しています。

 その上でLTVや解約率などを注視しながら、家事代行サービスがある生活を多くの方に続けていただけるようサービス改善やマーケティングに取り組んできたのがここ1~2年です。

※「カイタイ新書」より引用
※「カイタイ新書」より引用

中川:定期利用が90%以上とはすごいですね。ちなみに、近年LTV重視にシフトしてきたのはなぜでしょうか。

後藤:元々「売上は感動のバロメーター」と捉え、KPIも売上においていました。ただ、売上をKPIとした場合、目標達成を意識した際にお客様に正しい提案ができなくなるかもしれません。

 定期利用が90%以上を超えている中で、短期的な売り上げではなく、解約率の改善を図り、定期利用者を増やしながらお客様感動度を引き上げる方向にシフトしていった方が良いと思い、LTVを重視するようになったのです。

立ち上げ期に利用者のペインを解消

中川:定期利用を促し、継続させていくのは非常に大変だと思うのですが、どのような戦略を描いたのでしょうか。

後藤:どのようにしたらLTVが伸びるのか、過去の利用状況を分析したところ、LTVの安定までに立ち上げ期なる時期が存在することがわかりました。

 具体的には、ご契約から定期利用の1ヵ月目を指します。初月、特に最初の3回が重要であり、家事代行スタッフであるベアーズレディが3回訪問する中で、解約につながりそうなペインを解消しながら顧客満足度を上げるようにしています。

中川:解約につながりそうなペインを解消するとのことですが、どのような解消法があるのでしょうか。

後藤:たとえば、各地域にいるサティスファクショナル・マネージャーという社員がお客様に提供するサービスの調整を行っています。お客様のサービスに求めていることを訪問してヒアリングし、ご要望に合ったベアーズレディを派遣することで、お客様が持つ期待値を超えるサービスを目指しています。

 定期利用を始めたお客様の多くは、初めての利用でどこまで家事代行をやってくれるかよくわかっていません。そのため、最初の3回の訪問でお客様に合ったサービスにカスタマイズしていき、1ヵ月目の解約を防いでいます。

 1ヵ月目の解約を乗り越えたら、カスタマーサクセスが次に多い3ヵ月目の解約を防ぐために行っているのが、クオリティに関する満足度のヒアリングです。もし解約になってしまった方がいたら、すべてチェックし改善点を洗い出し、解約率の低下を目指しています。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/33838

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