※本記事は、2020年7月25日刊行の定期誌『MarkeZine』55号に掲載したものです。
「接点すべてがメディアになる」 新人時代の気づきが出発点に
note株式会社/ユーザーコミュニケーション担当金子智美(Tomomi Kaneko)氏
1985年生まれ。新卒でPRエージェンシーのエデルマン・ジャパンに入社し、2009年にネイバージャパン(現・LINE)へ。NAVERまとめなどNAVER検索サービス、LINEのTwitter運用担当者として、同社のユーザーコミュニケーションの基盤を築いた。2020年4月にnoteへ転職。PR担当として、エンドユーザーとのコミュニケーション業務に関わる。自分磨きの方法は、「ミーハーさを忘れず、流行ごとをちゃんと楽しむこと」。
――今年4月に、noteへ転職された金子さん。これまでのキャリアを教えてください。
2007年に、新卒でエデルマン・ジャパンへ入社し、担当クライアントのmixiコミュニティの運営を担当しました。このことをきっかけに、ソーシャルメディアによるユーザーコミュニケーションの仕事に関わり続けています。
仕事を始めたばかりの頃は「PRとは、マスメディアを通して何かを発信すること」と思い込んでいたのですが、エンドユーザーの声を聞き、直接コミュニケーションが取れるソーシャルメディアも、PRのひとつだと可能性を感じたのです。これからは、ユーザーとの接点すべてがメディアになる。あらゆるメディアをどう使って何を届けるか、これを広く考えていくことがPRなのだと気づき、その世界が広いと身をもって感じました。
そして2009年には、ネイバージャパンの事業立ち上げ時に、Twitterの運用責任者として転職し、2011年にLINEが誕生してからは、LINEの公式SNSの運用を担当しました。まだSNS運用のマニュアルもない時代、実践しながらかたちを作っていきましたが、基本は店頭接客と同じだと考えていました。画面越しではあるけれど、お客様とお話ししているような気持ちを心がける。その姿勢は今も変えていません。その後もLINEの成長に合わせて、リアルイベントの企画運営も含めたユーザーとの接点作りを担ってきました。
――LINEで過ごした10年間は、プロダクトや会社の成長を肌で感じていらっしゃったのでは?
そうですね。ネイバージャパンに入社してからLINEをリリースするまでは、ユーザーコミュニケーションに没頭し、走り抜けた期間でした。Twitterを主戦場に、SNSコミュニケーションの酸いも甘いも味わいましたね。この頃は、アクティブサポートに注力し、お困りの方を見つけたら解決方法をお伝えしたり、メンションがなくても話題に上がっていたらリプライを送ったりと、積極的に声をかけていました。タイムラインに流れてくる球を場外まで全部拾う、そして自分からも探しに行くという感覚です。ネガティブな発信にも絡んでいきますから、ときにはしんどい思いをすることもありました。けれども、すごく怒っていた方が、サポートによって「ありがとう」とおっしゃってくれ、イベントにまで来てくださることもあったんです。仲良しの飲み友達にまでなったユーザーもいます。率直に意見を言い合い、悩みも共有してきたので、企業とユーザーの垣根を越えて「LINEが大きくなって良かったね」と共感しあえる関係性が築けたと思います。ユーザーというよりも育ての親、同僚みたいな存在ですね。このときの経験はすべて、今につながっていると感じます。