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半歩先行くコンテンツマーケティング 「独自性」を紐解いて活用する

CMIファウンダーのJoe Pulizzi氏に聞く、ニューノーマル時代のコンテンツマーケティング


イチからコンテンツマーケティングに着手する手順

――コンテンツマーケティング責任者として、どこかの会社に就任したら何から着手しますか?

Joe Pulizzi氏:一番はじめに着手するのは「社内の教育と啓蒙」です。どんなコンテンツを誰に向けて発信するかはその後です。活動をただレポートするのではなく、何を目指しているのか。まずは哲学を伝えます。

 逆に細かなアクセス情報は伝えません。そういった数字は独り歩きして間違った認識を起こさせることもあるので、取り扱いには注意します。それよりも「我が社はこうなろうとしている、この姿を目指している」と訴えることが大事です。

 その達成にはロイヤルなオーディエンスが必要です。広告だけでは築けない関係性を構築しているのだと、社内を啓蒙していくのです。具体的には、サブスクライバーの獲得に集中している、オプトインは増えている、開封率は高い、開封する人は購入する確率が高い……といった話です。

 極端な話ですが、トラフィックが仮に下がったとしても、自分なら上司に「いいニュースです。botを消しこんだので、これからは純粋なオーディエンスのみにリーチできますよ」と報告するかもしれません(笑)。

音声&動画コンテンツの可能性

――Podcastや動画コンテンツの可能性をどう捉えていますか?

Joe Pulizzi氏:個人で「Content Inc. with Joe Pullizi」や「This Old Marketing」のPodcastを運営していますが、自分にはそれぞれに異なる2種類のオーディエンスがいると考えています。

 「Content Inc. with Joe Pullizi」のオーディエンスは起業家や中小企業のコンテンツマーケターがオーディエンスの中心で、「This Old Marketing」は大企業の人々がメインのオーディエンスです。

 音声か動画かという点に関しては、現在のマーケットの状況を見て、立ち位置を決める必要があるでしょう。仮に「Content Marketing Institute」をもし2020年から始めるとしたら、2007年当時よりも難しい状況になるでしょう。当時は検索エンジンに比較的ヒットしやすかったという状況もありました。現在はニッチな分野に絞れば勝機はあるかもしれませんが、競合は多いのです。

 コンテンツを伝えるのに最適な媒体は何か、どんなストーリーを誰に伝えたいのか、そのストーリーを伝えるには文字が最適なのか、それとも動画のほうが伝えやすいのか、音声でもいいのか……これは突き詰めて考える必要があります。

 YouTubeは素晴らしいですが、企業チャンネルがゼロから登録者を増やしていくのは茨の道です。その点、Podcastのほうが競合は少なく製作コストは10分の1ですむのは魅力かもしれません。今後、5~10年程度で音声検索はポピュラーになっていくということも考えられます。

オーディエンスとダイレクトな関係性を構築する重要性

――「ファーストパーティデータ」を持つことの価値は何でしょうか?

Joe Pulizzi氏:近年、Cookie規制の問題やプライバシー配慮の問題、また今は新型コロナにより苦境に立たされるビジネスが増えているという状況の中で、「ファーストパーティデータ」を持つことの価値が見直されています。

 たとえば、Google+は利用者数が世界的に低迷して終了(2019年4月)しました。せっかくのオーディエンスも失われてしまったわけですが、サブスクライバーを外に作ってしまうとコントロールが利かなくなるというわかりやすい例でしょう。

 こういった状況の変化は、オーディエンスとの関係性を企業自身が持つことの重要性に気づいてきたという意味で、結果的にコンテンツマーケティングを推し進めています。

 今はYouTubeの全盛です。登録者数を伸ばすのも良いですが、Eメール等のダイレクトな関係性の構築も同時に進めておくべきでしょう。Eメールの効果が見直されているなかで、成功しているメディア企業はEメールニュースレタープログラムのやり方が上手です。

 たかがメールアドレスと思うかもしれませんが、よく考えてください。SNSのプラットフォーマーも、ユーザーのメールアドレスの入力を求めてきますよね。……つまり、そういうことなのです。

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体裁よりも、情報の独自性が重要

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この記事の著者

伊東 周晃(イトウ ノリアキ)

株式会社JADE代表取締役。同社では、「Grrowth&Integrity」をコンセプトに検索を軸としたウェブコンサルティングサービスを提供している。前職の株式会社ぐるなびでは、SEO、ソーシャルメディア施策、ウェブ解析、コンテンツマーケティング、広告、広報領域の執行役員をつとめた。

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中山 順司(ナカヤマ ジュンジ)

SEO・ソーシャル・動画の3領域でのコンテンツ企画と制作が得意な生粋のコンテンツクリエイター。ソフトバンク、楽天トラベル、Six Apart、freee、ファベルカンパニーを経て2024年に独立。コンテンツマーケティングを専業とし、オウンドメディアとYouTubeの設計 / 企画 / 執筆 / 編集 / 分析 / 改善 / SEO を幅広く行う。MarkeZine、Web担当者Forum、ねとらぼ、WorkshipMAGAZINE等で執筆しつつ、Content ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/07 09:00 https://markezine.jp/article/detail/33935

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