データ規制の変化に対応するための基本的な方針
現時点では”GoogleやAppleなどが提供している技術的な内容と背景を把握してそれらに迅速に対応していく”というのが基本的な考え方です。

従来のアドテクノロジーは、どちらかというとシステム面の知識をもとに「できること・できないこと」を把握していました。「継続的に今後もできること・今後できなくなる可能性が高いこと」を理解していくためには、それに至った外的要因を把握していく必要があります。そういった面でも、前述の背景を理解することは今後利用していく技術やサービスを検討していく上で、これまで以上に重要になると考えています。
では、データの活用や収集にどういった技術を取り込んでいくべきか、ご紹介していきます。
元々ブラウザ側の規制が強まった背景には、個人の識別と目的外の利用(場合によっては目的を知らされないでデータが利用されること)を避けるために制約を作ってきたことが挙げられます。
たとえば、3rd Party Cookieなどは端末の識別性が高く、さらにデータの利用先を限定することが難しいため、問題視されることが多かったと思われます。3rd Party Cookie以外にもIDFAなどのデバイスIDやフィンガープリントは、今後利用が制限されたり、目的を明示した上でのデータ収集を求められたりするケースが増えるのではないでしょうか。
このような、個人識別性が高いテクノロジーについては、プラットフォームの改変や法律などで規制される可能性が高く、永続的に使うことが難しい可能性が高いと予測できます。逆にプライバシー保護処理を行うための技術や処理をしたデータセット(匿名加工したデータや仮名化データ、差分プライバシーなどの処理がされたデータ)で利用目的が限定されている場合、今後もデータ活用に使える可能性が高いと予測できます。
各プラットフォームが、こういったデータに対するプライバシー保護処理やデータ収集部分を対応してくれるケースも増えてきています。この側面から見ると、AppleのITPやGoogleのPrivacy Sandboxがそれらをサポートしてくれるツールと考えることもできます。
ITPについてはすでに順次サービスがリリースされていますし、GoogleのChromeのアップデートも2022年に迫っているので、彼らに頼らないテクノロジーの検討をしていくことも必要ですが、彼らのテクノロジーに沿った形で永続的にサービスを提供していくことができるような方法を検討しておくと良いのではないかと思います。