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経営視点を持つマーケターになるために、キャリアを戦略的にマーケティングする実践手法 

2020/10/06 08:00

 P&Gでマーケターとしてキャリアを積み、独自の手法でマーケティングを支援するM-Forceの代表へ。こう書くと華やかに聞こえるが、実は新卒では研究職での入社だったという長 祐(ちょう・たすく)氏。「ゼロからマーケティングに入れたのは既に30歳近く、35歳までに絶対にブラマネになると決めて足りない部分を埋めていった」と当時を振り返る。長氏の経験から、経営まで見据えたマーケティングプロフェッショナルのキャリアの築き方を学ぶ。

目次

30歳手前で研究職からマーケターへキャリアチェンジ

安成:MarkeZineでは「マーケティングを経営ごとに」と掲げています。ただ、20~30代の若手マーケターの場合、なかなか経営視点までを見据えてキャリアを積み上げるのは難しい状況もあります。今回はP&GのマーケターからM-Forceの代表に就任された長さんに、具体的にどのようなキャリアステップを経てこられたのかをうかがいます。

長:よろしくお願いします。僕もさんざん悩んで今があるので、何らかの参考になればうれしいです。

M-Force 代表取締役 長 祐(ちょう・たすく)氏
2001年東京大学大学院新領域創成科学研究科卒業後、P&Gに研究職で入社。アジア全域での新製品開発における調査を経験した後、2006年に社内選考プロセスを経てマーケティング部門に転籍。ブランドマネージャーとして、ジレット、SK-II、BRAUNなど多岐にわたるカテゴリーのブランドマネジメントを担当。化粧品カテゴリーの日本事業責任者を経て、P&Gジャパン執行役員としてBRAUNを中心とする家電事業の事業代表を務める。2019年M-Forceの代表取締役に就任。

安成:長さんのご経歴を拝見するととても華々しく、迷いのないキャリアのようにも感じるのですが、長さんもご自身もたくさん悩まれたご経験があるのですね。ただ、マーケターのキャリアをスタートされたのは30歳手前だそうで、少し遅かったんですね?

長:はい。大学院では遺伝子工学を専攻し、ビジネスにも興味があったので、P&Gには最初は研究開発職で入りました。

 P&Gの研究職は基礎研究ではなく、マーケターがリードするチームの一員として、開発や改善のための調査やコンセプトテストも担います。私はアジア全般でパンパースの新商品開発に関わり、どういった製品が受け入れられるのかをチームで探っていました。

安成:研究職でもかなりマーケティングに密接だったんですね。どういうきっかけで、マーケティング職に転向しようと思ったのですか?

長:タイやフィリピンなど各国のお母さんたちに話を聞く中で、「人は機能を買っているんじゃない、価値を買っているんだ」と気づいたことが大きかったです。

人は機能を買っているんじゃない、価値を買っているんだ

安成:なるほど、価値を買っている。

長:こだわって開発した、高分子吸収体やゴムの強さの設計に対するコメントは、全然なくて(笑)。特に初産のお母さんだと不安も多いので、機能云々ではなくあくまで子どもが中心です。子どもとお母さんの安心や快適さという視点から「このオムツなら間違いない」という納得感に価値を見出しているのだとわかりました。

 もちろん、その価値を支えているのは機能ですが、それはあくまで部品であって、最終的な購入理由ではない。そんなことを考えるうち、本質的に価値が人を動かすなら、それを作る仕事をしたいという思いが強くなっていきました。

安成:そこから、価値を作るのはマーケティングだと思い至ったのですか?

長:というより、経営ですね。顧客に価値を提供する仕事は、経営だという認識が当時からありました。で、P&Gではマーケティングが経営に直結していて、ブランドマネージャーがミニ経営者のようなものなので、自分の志向性に気づいたからには移るしかない、と。

 ただ、研究職で4年勤めて昇進したタイミングでもあったので、腹を括るまでに半年くらいはモヤモヤしていましたね。P&Gは職種別採用なので、改めてマーケ職で社内の選考プロセスを受けないといけない。キャリアが完全にリセットなんです。

安成:そういうシステムなんですね……!

私は院卒なので、無事転向できても29歳とかで22~3歳の新社会人と一緒にゼロからになるし、結婚したばかりというライフステージの変化もあって「これ、俺、どうすんの?」と毎日思っていましたね。後半3ヵ月くらいはがっつり悩み、決断した後もP&Gが受かるとは限らないので、経営という観点でコンサルや商社など外の転職先候補も調べていました。

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