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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

編集長インタビュー

経営視点を持つマーケターになるために、キャリアを戦略的にマーケティングする実践手法 

なりたい姿から逆算して「今すべきこと」を規定する

安成:どのように考えて、その道を決断したのですか?

研究職を続けたときと、マーケターに転向したとき、それぞれの10年後を想像してみました。マーケの道で仮に大成功したら、40歳ではマーケを軸に経営に携わっているはず。そうなるまでの道が険しくても、頑張ってそれを実現するほうがおもしろそうだと直感しました。

 研究によってつくる機能と、製品の価値は相互補完の関係なので、研究かマーケかというのは、もう好みの問題だと思っていました。ただ、その時点の自分はまだマーケの道を踏み出していないので、どっちがより好みかが決めきれなかった。10年後なら、今はわずかな差でも延長線上で違いが明確になりますよね。あくまで想像ですが、そんなふうに考えて決断し、数時間・複数人にわたる面接を経て、なんとかマーケティング部門に転籍することができました。

安成:マーケ側になって、ギャップを感じたことはありましたか?

業務の内容や方向性は理解していましたが、やはり実感値は少し違いましたね。主には3つあって、まずリーダーシップを執る立場のプレッシャーがきつかった。マーケターはプロジェクトリーダーとして、研究や生産、ファイナンスなどどこで問題が起きてもすべての責任を負います。加えて僕は30歳を超えながら、研究以外の領域はあまりわからず、「は?」みたいな顔をされることも多かったです。

目標と現状を把握し、自分を自分で育てていく

2つ目は、戦略が優れていても、実行のクオリティが悪ければ意味がないこと。ここが欠けていると、いくら良い商品でも顧客に届きません。3つ目は先の2つに絡みますが、その実行部分を、領域の違うメンバーをうまく巻き込んで、皆で一丸となって進めることです。

 これらの課題を見据えながら、「35歳までに絶対ブラマネになる」という目標を立て、そのためにどう自分を育てるべきかを逆算し、働き方やプロジェクト参加を考えていきました

安成:“自分を育てる”とは、印象的な言葉です。具体的には、どのように?

何でもそうですが、目的と現状があり、その間を埋めるのが戦略ですよね。キャリアも同じで、目的と現状の自分とのギャップを埋めるには戦略が必要です。どんな経験や能力が求められるかをブレイクダウンし、どう獲得していくのか。

 具体的には、研究職時代にチームで使っていたキャリアプランシートを自分なりに改変し、3ヵ月ごとにラーニングとそれをどうアクションに変えていくかを3通り書き込んで、振り返っていました。3ヵ月前と同じことを書いていたら、身についていないとわかります。

利点は大きく2つあって、ひとつは学びの定着とアクションのサイクルがすごく速くなることです。偉人の格言を書き留めても、自分のものにはならない。たとえば部下に「お前は信用できない」と言われてその後にリカバーしたら、「人の信用を勝ち取るためには、こんな要素が大事だ」というラーニングがありますよね。それを今後どうアクションに込めていくか、明文化して実践することで、その要素が着実に、速く身についていきます。

 もうひとつは、学びを概念として捉えて抽象化すると、他の領域にも生きることです。部下の信頼を得るのに必要な要素は、上司との関係構築にも役立つし、営業がバイヤーに商品を売り込むときにも役立ちます。物事の裏側にある一般概念を自分でつかんで、意識的に転用できるようになります。

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差を生むのは才能ではなく、方法だ

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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2020/10/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/34425

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