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ニューノーマル時代に求められる“企業カルチャー”とデジタル業界の未来/INBOUND2020レポート

2020/10/08 08:00

 米国時間9月22日から24日にかけて開催されたHubSpot社主催の年次イベント「INBOUND2020」。新型コロナウイルスの影響で、通例のボストンのコンベンション&エクシビジョンセンターによる開催から、オンライン開催と形式が変更された。しかしながら、ほぼ例年通り合計280以上のセッションが用意され、参加登録者数は7万人超えを記録。マーケティング、セールス、サービスに関する最新の考えや、ニューノーマル時代の事業成長をどのように行うべきかの情報がユニークなオンライン体験とともに全世界の参加者に共有された。本稿では、22日に行われたキーノートセッションの様子をお届けする。

目次

生き残るだけでなく、“繁栄を続ける”ために

 筆者はHubSpot日本法人の立ち上げに関わり、マーケティング責任者として創業期を牽引。現在はLEAPT(レプト)にて、SaaS企業を中心にBtoB企業のマーケティング&営業支援を行っている。今回はこうした観点から「INBOUND2020」で伝えられた内容と、それらをどのように日本企業に適応していくべきかについてお伝えしていきたい。

 22日に行われたキーノートセッションでは「How a company thrive in the new normal, not survive(ニューノーマル時代において、企業が生き残るだけでなく、繁栄を続けるために)」というコンテキストで、HubSpotの共同創業者CEOのブライアン・ハリガン氏、共同創業者CTOのダーメッシュ・シャー氏、CPO(Chief Product Officer)のクリストファー・オドネル氏の3名が、(通常ではあり得ない伽藍堂の)ボストンレッドソックスの本拠地“フェンウェイパーク”で語らう形式で行われた。

左:ダーメッシュ・シャー氏、中央:ブライアン・ハリガン氏、左:クリストファー・オドネル氏、フェンウェイパークにて
左:ダーメッシュ・シャー氏、中央:ブライアン・ハリガン氏、左:クリストファー・オドネル氏
フェンウェイパークにて

 冒頭でブライアン氏は「現在我々の社会は“3つの大きな分かれ目”、すなわち1)健康に関する分かれ目2)経済に関する分かれ目3)心の持ち方に関する分かれ目、に直面している」と伝えた上で以下のように続けた。

 「15年前にビジネススクールに通っていた時も、企業に勤めていた時も、決して習うことも直面することもなかったことに、我々は今直面している。事業への影響を考えると、とても大変な事態だと思うし、とても興味深いことでもある。こうしたパンデミックが起きた際に企業のリーダーとしてどう行動すべきかは誰も教えてくれなかったから、自分で考えるしかなかった。この6ヵ月間は戦争でもしているかのような気分だったね」(ブライアン氏)

 「まさに、手探りだった。そして、注意すべきは『新しい日常』が始まるのはこれからだということ。まだ『日常』と呼べるほど、落ち着いてはいないんだ。この緊迫した現在の状況は、人々のすべての行動に影響を与えていると思うよ」(ダーメッシュ氏)

 「そうだね。僕は“テクノロジーの役割”がかなり変化したと思っているんだ。自分の小学1年生の子供から引退した両親までが、効率化のためではなく、人とのつながりを求めてテクノロジーを活用するようになったんだ」(クリストファー氏)

企業、リーダーたちに求められる“変化”

 新型コロナウイルスの大流行にともない、米国の企業に限らず日本も含めた全世界の企業運営のあり方が変化した。その過程では「ZoomやSlackを使ってどのように会議を行うか、展示会やセミナーをどのようにオンラインで行うか、従業員同士の繋がりや仕事の一体感をどのように作り上げるか……」など、多くの苦労があっただろう。

 ブライアン氏は、現在一部の企業がオンラインで行っている事業運営形態は、数年後の未来ではより当たり前になり「2019年のような時代に戻ることはないだろう」と主張。そして、そのような変化に適応するには、何より企業のリーダーたちの変化が必要だと強調している。

 「私は“社会人類学者のように考える”という趣味を持っていて、インバウンドマーケティングをダーメッシュと考えた時も、人々の購買決断がどのように変化し、マーケターが何を望まれているかを観察していたんだ。このニューノーマル時代も、従業員の働き方に関する判断がどのように変化し、企業やリーダー達が何を望まれているかを観察していたよ。企業やリーダー達は、この従業員の考え方の変化を直視し、変化すべきだと思っているんだ」(ブライアン氏)

 ブライアン氏は今後、「企業の人材獲得」についても変化が起きるとし、隣町のライバル会社との人材獲得競争だけではなく、国内のライバル企業すべてが対象になるだろうと主張する人気企業とも場所を問わずに人材獲得のため戦わなければいけない時代がすぐに来ることは間違いないとし、ひとつ上の企業カルチャーを作らないと、優秀な従業員を惹きつけ働き続けてもらうことはより一層難しくなるだろうとも付け加えた。

 日本国内でも、転職エージェントやヘッドハンターに頼らずに、自社がコンテンツを発信し採用を行う「インバウンドリクルーティング」が注目を浴び始めている。転職が盛んな米国などでも、現在はヘッドハンターや転職エージェントに頼るより、企業自身が発信する情報、従業員が発信する情報、glassdoorなどの転職レビューサイト、LinkedInの繋がりなどで自ら仕事を探すのが一般的。今後の日本においても、その傾向はより強くなるだろう。企業がニューノーマル時代において繁栄し続けるためには、そうした変化を捉え、会社のカルチャーを明確にすることが必要だと筆者は感じている。

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