PR投稿の「言わされている感」はすぐバレる
情報収集を徹底するとはいえ、口コミならどんなものでも参考にするというわけではない。around20の若者たちは、自分が信頼する人や推している人がお薦めしているかどうかに加え、お薦めされているものが正しいかどうかを吟味しながら購買を検討している。

企業がインフルエンサーに商品の紹介を依頼するPR投稿には、多くの若者が敏感になっているという。
「高校生から『あれは案件だよね』という言葉を聞くこともあり、業界の仕組みを知っている若者が多いので、嘘っぽいものはすぐにバレます。定型文で複数のインフルエンサーが同時に発信している投稿などは“言わされている感”が強く、たとえ商品が良いものであったとしても敬遠されてしまうので、注意が必要です」(長田氏)
逆に、企業とインフルエンサーの連携がとれていて、内容からストーリーやインフルエンサーの熱量が感じられるものであれば、PR投稿も有効に働く。インフルエンサーに丸投げするのではなく、彼らがファンとどのようにコミュニケーションをとっているかを加味する姿勢が企業には求められていると言えるだろう。
コロナ禍でSNSの閲覧時間は増加、コミュニケーションにも変化
コロナ禍で若者のSNS活用にどのような変化が生じたのか。今年4月、SHIBUYA109 lab.がaround20の女性を対象に行ったインタビューによると、SNSの閲覧時間は全体的に増えているものの、利用頻度の増減にばらつきが見られたという。
たとえば暇な時間が増えたことにより、動画コンテンツをひたすらスクロールして閲覧し続けられるTikTokの利用頻度が高まった。また新型コロナの影響で時事ネタや社会課題への注目度が高まり、Twitterで情報を追う機会の増えた人がいる一方、テキスト疲れによるTwitter離れを起こす人との二極化傾向も見られたという。

長田氏はaround20の間で起こったSNS上でのコミュニケーションの変化に注目し、以下のように語った。
「コロナ禍で自粛ムードが続き、外出してもこれまでのように気軽な投稿ができず、友人の近況を知る機会が減って交友関係がどんどん狭く深くなっています。新しい出会いが生まれづらく、既にあるコミュニティ内のコミュニケーションが濃密になることで、ファッションやメイクも気負わない雰囲気を好む傾向にシフトしています。若者の情報収集の手法は以前と大きく変わっていませんが、コミュニケーションの手法は変わっているので、その点をきちんと押さえておくことが今後のマーケティング活動には必要です」