「チャット」や「位置情報アプリ」の利用が拡大
続いて、どのようなアプリが台頭したかを見ていきましょう。Z世代では、3〜5月にかけてゲームの利用が約115%成長(前月比成長の平均)しました。カジュアルゲーム、「どうぶつの森ポケットキャンプ」などの任天堂発のゲームも大きな影響を与えていますが、「荒野行動」「Identity V」などのコアゲームが人気を博して利用数値を押し上げています(図表4)。一方で、25歳〜44歳の世代では、ゲームの利用状況は新型コロナ影響を受けておらず、むしろ微減しています。GW期間前後に「ポケモンGO」の利用が増えたことが要因となり、5月に総時間が増加しました。

エンターテインメントアプリでは、両世代共通して、Netflix、Hulu、Amazon Prime Videoなどの動画ストリーミングアプリの利用が伸びました。Z世代においては、3〜4月にTikTokなど無料配信系のアプリが、一気に新規ユーザー獲得を行い、その後、新型コロナウイルスの長期化により徐々に課金層が増え、利用も増加したと推察されます(図表5)。また、Z世代が利用する特有のアプリとして、Twitcasting(ツイキャス)や、お絵かきアプリのアイビスペイントが挙げられます。

ソーシャルアプリでも、世代により使うアプリに変化が見られました。Z世代では、3月のアプリ総時間は約130%成長(前月比成長の平均)しました。特に、チャット系のLINE、Discordといったようなアプリは、3月に約130〜140%で利用時間が拡大(前月比成長の平均)し、位置情報共有アプリ「Zenly(ゼンリー)」に至っては約155%という急拡大を見せました。地図上で新型コロナウイルスの拡散状況を可視化できる機能「コロナウイルス・レンズ」をリリースしたことが急拡大の要因と予測されます。
こうしたことから、コロナ下では、Z世代が「人との繋がり」を意識していたと言えるでしょう。25〜44歳の世代も、2020年3月〜4月にかけて総時間が増加し、115%の成長(前月比成長の平均)を記録しました。しかし、アクティブユーザー数の成長は5%未満(前月比成長の平均)の微増に留まり、新しいサービスの利用ではなく、LINE、Facebookなど既にインストールしているアプリへの時間消費が多く見られました。
Z世代のモバイル利用から消費動向とニーズを探る
Z世代は、その他の世代と異なる消費行動をしていることがモバイルの利用状況から見てとることができたかと思います。つまり、Z世代にアプローチする際には、他の世代でうまくいっていた戦略を転用するのではなく、戦略自体を変える必要があるということです。「若年層」を一括にするのではなく、ミレニアル世代、Z世代と若年層を定義しながら、Z世代がどのようなサービスを好み、どのような行動をしているのかをタイムリーなデータ(ファクト)から分析することで、マーケティングや商品企画、新規事業など、事業の成功角度を上げてみてはいかがでしょうか。