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『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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定期誌『MarkeZine』特集

Cookieレス時代、3つの代替案と変えない戦略

 ネット上の個人情報保護に関して大きな注目が集まっている。各種ブラウザにおいてサードパーティCookieの利用制限が発表され、企業には「Cookieなきデジタルマーケティング」の体制構築が求められている状況だ。通信販売事業を展開するディノス・セシールでは、数年前から複数の代替技術を模索し、自社ビジネスに取り入れるための検証を行ってきた。その上で、同社・CECO(Chiefe-CommerceOfficer)の石川森生氏は、「根本的な戦略を変えることはなく、それほど懸念していない」と見通しを語る。対応のポイントは、どのような点にあるのだろうか。

※本記事は、2020年10月25日刊行の定期誌『MarkeZine』58号に掲載したものです。

戦略はまったく変わらない

株式会社ディノス・セシール CECO(Chiefe-Commerce Officer)
石川森生(いしかわ・もりう)氏

新卒でSBIホールディングス入社。SBIナビ(現・ナビプラス)の立ち上げに参画、営業統括の責務を担う。その後、ファッション通販サイトのマガシークにてマーケティング部門の責任者、製菓製パン向けECサイトcottaを運営するTUKURU代表取締役社長を歴任。イントレプレナーとして常に企業の課題解決に従事。2016年2月、ディノス・セシールでCECO(Chiefe-Commerce Officer)に就任。既存の枠組みを超える、サスティナブルなECビジネスを構築するというミッションを実践している。

――長きにわたりEC事業、ネット広告に携わられてきた石川さんは、現在の状況をどのように捉えていますか。

 ネット上のデータ活用について、世界が“ルールチェンジ”を打ち出してきたタイミングであり、日本は残念ながらルールを作る側にいるわけではありません。今はその決められた流れに従っていかざるを得ないというのが、実態だと思います。ただ本質的には、法律に則って良いか悪いかというよりも、お客様に提供するサービスとして喜んでもらえるものだろうかと考えたときに、リターゲティングでずっと追いかけまわされて、見たくもない広告が表示され続けるのは良い体験とは言えない。このことに尽きるのではないでしょうか。Cookie規制によって、本来であれば事業会社が自らケアしなくてはいけなかったこの不都合な真実について、改めて考える機会を得たというように捉えるべきなのかもしれません。

――Cookie規制によって、これまでどおりの技術・手法が使えなくなることが想定されます。御社では、戦略や施策にどの程度影響が出るとお考えですか。

 まず、戦略はまったく変わりません。我々の生命線は、お客様との関係をどう構築するかの1点で、これを維持・拡大していくことが最重要です。新規のお客様とつながるにはコスト(CPA)がかかります。一人につき1,000円しかかけられないのと、1万円かけられるのでは、できることが全然違ってきます。ではCPAの限界上げるためにはどうすれば良いか。結局、お客様と長期の関係性を構築し、LTVを上げていくしかない。ですから、既存のお客様へのリテンションを磨くこと、提案の精度を上げていくことが、すべての基本になっています。元来「新規のお客様は後からついてくるもの」と考えていて、テクニックで獲得効率を上げよう、という発想はありません。個人的には、Cookie規制といったテクニカルな変化より、SNSのトレンドがどんどん変わっていくことのほうが、よほど戦々恐々としています。Z世代が多くの時間を費やすようなアプリやプラットフォームに、正直ユーザーとしてはついていけません。そのような感性的なものを理解していかなければいけないことのほうが、ずっと難しいです。

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/25 09:33 https://markezine.jp/article/detail/34603

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