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花王廣澤氏が若手視点で聞く、これまでとこれからのマーケティング

【後編】今後のマーケティングに役立つユーザー・イノベーションとは?【花王廣澤氏×博報堂岡田氏対談】

好きな人に聞いてもユーザー・イノベーションは起きにくい

廣澤:楽しさと不満がユーザー・イノベーションに欠かせない要素なんですね。

岡田:企業の中には、ユーザー・イノベーションを起こそうと自社のコミュニティサイトでアイデアを募ったり、ファンの方を数名集めてインタビューを行ったりするケースもあると思うのですが、ユーザー・イノベーションを生み出すには十分ではないかもしれません。

 なぜなら、そのようなインタビューに集まる方の多くは、その企業やブランドのファンで、おおむね満足しているからです。そういった人は企業の人に認められたいなどモチベーションが高く、企業が思い付きそうなアイデアに近いものが出てくる傾向があります。

 そのため、ユーザー・イノベーションでは誰に聞くのかが非常に重要です。

 廣澤:確かに企業側、商品開発をしている側の目線だと、つい「好きな人に聞いたら何か出てくるだろう」と思ってしまうかもしれません(笑)。

岡田:もちろん、ファンの方に聞いたらダメというわけではなく、アイデアを聞く人に多様性を持たせることが重要です。不満を持つ人や、あまり熱心ではない人など、様々な距離感の方からアイデアが拾えると非常によいと思います。

専門家からよいアイデアを引き出す方法とは?

廣澤:ちなみに、特定領域の専門家に話を聞くケースもあると思いますが、その場合はどうでしょうか。

岡田:専門家の場合のポイントは2つあって、1つは本当に最先端の人に聞くということです。たとえばピラミッディングという手法だと、その分野に詳しい人に話を聞いたら、「あなたよりさらに詳しい人を紹介してもらえますか?」と聞いていきます。それを繰り返すとすごく詳しい人に会えるわけです。このようにその分野に本当に詳しい人を見つけられるかが重要です。

 もう1つは同じ市場ではないけれど、課題が似ている市場の専門家に聞くということです。自動車のブレーキについて研究している人ならば、飛行機やF1のエンジニアといった重いものを止めることについて詳しい人など、原理や課題が共通している人に話を聞けると有効です。

 別の業界の当たり前は、自分たちの業界では発見になることがよくあります。専門家に話を聞く際は、そういった視点が必要ですね。

廣澤:今の考え方は多くのマーケターに役立ちそうですね。よく広告会社の方は、ある広告がどういった意図で作られたかを分析するデコンストラクションをすると思いますが、私もよくしているんです。その際、自分が携わっている業界以外で行うようにしていて、そういった本質が共通していそうなものから調べるのは重要かもしれませんね。

 今、生活者と専門家で切り方が違いましたが、その他にユーザー・イノベーションを起こしそうなユーザーを見つける方法はありますか。

岡田:その他だと、アイデアを形にするスキルを持った人に意見を募るのは効果的です。たとえば、私が関わったあるプロジェクトでは、プロダクトデザイナーの方から意見を募りました。回答数は少なくなりますが、かなりよい示唆を得ることができました。

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1人でも欲しいと思う人がいそうなら試してみる

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/10 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34742

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