記事やプレゼン内容に隠された「大事なこと」を見つけ、質問しよう
安成:他にも、マーケターとしての自分のポジションを把握する方法はありますか。
塩見:メディアも、モノサシにできます。MarkeZineなどの記事を読み、内容を100%理解できるかが、スタート地点です。実は、取材時に「本当に大事なこと」、たとえば実数値や失敗談などは、話さないことが多い。企業秘密やマイナスブランディングですから。
安成:そうですね。ビジネス上、「少し表現をぼかしてください」などのお願いはあります。
塩見:セミナーの内容も、同じです。記事やプレゼンに隠された「本当に大事なこと」に気づけると、著者やスピーカーと同じくらいの理解レベルになっていると思います。その上で、「ここ気になるな」「ここに何か隠していることがありそうだな」と気づいたら、相手に質問してみましょう。
安成:「知らない人にメッセージを送るなんて……」と戸惑う方も、ぜひトライしてほしいですね。私はよくメッセージをいただきますが、嬉しいです。塩見さんのように、自分自身で道を切り開いていく方は、知らない相手から声が掛かっても、ウェルカムなのではないでしょうか。
塩見:そうですね。登壇やインタビューのフィードバックは気になりますし、「おもしろかったです」というお褒めの言葉よりも、鋭い質問のほうが嬉しいです(笑)
社外の人、セミナーや記事に登場する人と接点を作り、自分との差を確認していく方法はおすすめです。僕も気になることがあれば、すぐにFacebookでメッセージを送ります。本質を突く質問であれば、相手も好意的に受けとめてくださいます。
上司のタイプ別「自分の成果をアピールする」方法
安成:ここからは、3つ目のアジェンダ「会社や上司に成果をわかりやすく伝える方法」をうかがっていきます。自身のキャリアアップには、評価をする上司や組織に対して、成果の発信が重要です。しかし、デジタルマーケティングは専門領域な分、評価がされづらいとも聞きます。
塩見:上司や組織のタイプで、攻略方法が異なります。特に、論理性よりも定性面や感情を重視する企業の場合は、「わかってくれない」と不満を募らせても仕方がありません。上司や組織が大切にしている情理に働きかけましょう。
安成:情理に働きかけるとは、具体的にどのようなことですか?
塩見:たとえば、ユーザー会に登壇した実績やメディアに掲載された事例を作り、第三者からの評価をプレゼンする方法です。デジタルマーケティングがわからない上司も、評価をしたくないのではなく、評価の仕方がわからないだけなのだと思います。
安成:パートナー企業や代理店の力を借りる、またはアワードに応募するなど、社外の実績を活用するんですね。そして、メディアの事例取材を受けることも大事なポイントだと挙げていただきました。私たちMarkeZineも、現場のマーケターの皆さんが一生懸命に取り組んだ仕事を発信する場として、私たちを活用頂けると嬉しいです。読者の方のキャリア構築の支援ができることは、編集者の大きなやりがいの一つです。
塩見:いっぽうで、デジタルマーケティングに詳しく、定量の評価を重視する企業の場合は、同じ言語で話せますよね。この場合に注意したいことは、定量と定性をバランスよくアピールすることです。デジタルマーケティングでは成果を定量で表しやすい分、それ一辺倒になってしまう人を見受けます。誰もが表しやすいものだけアピールしても差別化できないので、定性のほうがむしろ重要になります。バランス感覚は大切にしましょう。