クリエイターとエンジニアの橋渡しに
――hakuhodo DXD発足前から、テクニカルディレクターとして活動されていたようですが、どのような支援を行ってきたのでしょうか。
たとえば、ある飲料メーカーの顧客接点のDX支援を行っていました。これまでは取得できなかったデータの蓄積などを通じて、コミュニケーションを変化させる取り組みの立ち上げに携わりました。その他にも、飲食業界のアプリ、メッセンジャーアプリ、Webサイトなどでバラバラになっていた体験を取りまとめてより良いものにするコンサルティングなどにも現在関わっています。
新しいサービス開発にも取り組んできています。たとえば、プレゼンテーションソフトウェアに開発を加え、チャット画面にテキストを入力するだけで資料が自動生成できるサービスをBASSDRUMの方々と一緒にプロトタイピングしたこともあります。これは博報堂を仮想クライアントとして、デジタルで業務を効率化できないかというお題を想定して作ったものです。資料作成は属人化しやすいので、その解消に役立てばと考えています。
また個人的には、アーティストのARを使った美術作品の制作のお手伝いもしています。本当の街では勝手に彫刻を置くことができませんが、AR空間ですので場所にこだわらず作品を浮かび上がらせることができます。アーティストからすると、こうしたいというイメージがあっても、それをエンジニアにどう伝えれば良いのかわからないことが多いということがわかりました。やりたいことを機能分解し、技術的な限界も踏まえて実現可能な提案をするようにしています。

これは企業案件でも同じで、クリエイターが出す理想的な要望に対し、機能分解をし、方向性を揃えることで、エンジニアが超えられるハードルへとすり合わせていきます。テクニカルディレクターは、クリエイティブの表現ハードルを保ちながら、エンジニアの持つ技術の限界を引き出す仕事だと思っています。そうすることで、長く使いたくなる、気持ちの良いクリエイティブが生まれると思っています。
クライアントのサービス立ち上げを支援したい
――最後に今後の展望をお聞かせください。
まず、クライアントのサービス立ち上げの支援をしていきたいと考えています。hakuhodo DXDの視点で、クライアントの事業成長をサポートできるサービス作りに取り組みたいです。また、BtoB向けのサービスのUX/UIデザインにも興味があります。法人向けのサービスに人間らしさを組み込んだものはまだまだ多くないと思うので、そこに我々の知見を使っていただけたらと思います。
また、他業界であるコンサルティング企業やSIerなどの方とも協業していきたいと思っています。戦略やシステム構築に強い両業界とタッグを組み、我々が得意とする顧客接点の設計部分でお力添えしたいです。