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ACIDMAN大木さんに聞く、コロナ禍の配信ライブとファンコミュニティで見つけた新しい体験価値

お金を稼いで投資して、新しいエンタメを作る

MZ:大木さんの話の節々から、アーティストとして常に新しいマネタイズの仕方、ファンへの価値提供を模索しているのを感じて、とても新鮮でした。

大木:確かにアーティストの中にはビジネスに対してアレルギーのある人もいて、特に日本人は“お金儲け=悪”みたいなイメージを持っている方も多いと思うんです。僕も昔はそうでした。でも、お金というのはエネルギーで、次のステップに進むには絶対必要なものです。

 ミュージシャンは、お金を稼いでそれを元手に投資をして新しいエンターテインメントを作って、良い曲を書いてライブをするべきだと思うんです。お金を稼ぐのがダメだっていう感覚のミュージシャンには、お金はあなたの音楽をより良くするためのツールだということを伝えたいですね。

 僕は自分で会社を経営しているため、社員の給料やメンバーへの支払いもあります。そのため、活動資金を稼ぐことと音楽を作ることは同じくらい大事なことですね。

サブスクの台頭、課題となるのは若手のプロモーション

MZ:ACIDMANは配信シングル「Rebirth」を9月に発売するなど、CDに捕らわれない楽曲の提供を行っていますが、今後のCDのあり方や音楽のプロモーションはどうなっていくと思いますか。

大木:まずCDの市場はこれからますます縮小していくと思います。その分、フィジカルな形で残っていく可能性が高いのがレコードだと考えています。レコードの市場は伸びていて、アメリカではCDよりも大きな市場になっています。

 サブスクリプションサービスが伸びるほど、手間をかけて聴く音楽にも、逆に価値が生まれてくると思います。僕も自分が好きなアーティストの新作が出たら、スマホで聞けるのにわざわざレコードを買って聞きますから。これからも音楽の聴き方の選択肢は増えていくと思いますが、個人によってお金のかけ方が変わっていくのだと思います。

 ただ、危惧しているのは若手ミュージシャンのプロモーションです。このままライブが気軽にできない状況が続いていくと、彼らがアピールできる場がYouTubeやSNSだけになっていってしまう。ぜひ平良さんみたいな方に、若手ミュージシャンが世の人に感動を与えられる場を提供してほしいです。

MZ:平良さんはいかがですか。

平良:現状はコアなファンが集まるコミュニティとしてFaniconを運営しているので、新たにファンや認知を得るのは難しいと思います。ただ、将来的にはFaniconや新しいサービスを通じて新しいファンを取り入れられるような仕組み作りにもチャレンジしたいと考えています。

とにかく良い曲と良いライブを提供する

MZ:最後に、大木さんから今後の展望をお願いできますでしょうか。

大木:昔から具体的な展望というのはなくて、とにかく良い曲を書いて良いライブをすることに集中したいと常に思っています。この会場でライブをしたいという願望も特になくて、これまで6回ライブを行ってきた武道館も、目標にしていたというよりはファンの方のおかげでやることができた、という感謝の方が大きいですね。

MZ:配信ライブでは様々なチャレンジをしてきましたが、今後取り組んでみたいことはありますか。

大木:直近の挑戦として、11月28日開催の「Fanicon Private Fes. 2020」にキュレーターとして出演します。僕の周りにいる実力のあるミュージシャンを集めて普通の弾き語りライブでは出せないプライベートな雰囲気の空間を作っていく予定です。

 こういった取り組みを通じて、様々なアーティストがFaniconなどの仕組みを使った新たな収益化、ファンとのコミュニケーションについて知ってほしいなと思います。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34875

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