購買率2.2倍、サポートコスト45%削減を実現
では、実際どのようなサイトで活用されているのか。清水氏は同製品が既に展開されてきた海外の導入事例を紹介した。
一つは、世界保健機関(WHO)と提携し立ち上げた、新型コロナウイルス感染症に関する公式なオンライン情報ハブ(マイクロサイト)だ。新型コロナウイルスに関する、世界中の質問に答えを提供している。清水氏がこの例を基に述べたYext Answersの利点は、企業サイト全体に導入できるだけでなく、関連のサイトのみの導入もできること。たとえば、各企業や団体で予定されているキャンペーンやイベントなどの特設サイトのみに導入し、関連する様々な質問に答えるということも可能だという。
世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス感染症に関する公式なオンライン情報ハブ(マイクロサイト)。
Yext Answersの自然言語処理と構造化データベースにより、検索バーに入力した質問の意図を読み取り、
ダイレクトな回答を表示する
米ピザハットでも、新型コロナウイルス感染対策についてユーザーからサービスへの質問が増加する中、Yext Answersによってサイト内検索でのダイレクトな回答を可能にした。また、アメリカで通信事業などを手掛けるVerizonのBtoBビジネスをはじめ、あらゆる業種の企業や団体のWebサイトで活用されているという。
米ピザハットのサイト内検索画面。非接触のデリバリーサービスを近くで利用できるかといった質問を
検索バーに入れると、その回答となるFAQを表示する
清水氏は、導入による具体的な成果にも言及した。イギリスの大手通信会社の事例では、サイト内検索を使用しない顧客と比較して、Yext Answersを使用した顧客のコンバージョン率(購買率)は2.2倍に。アメリカのニュージャージー州、アラバマ州などの州政府が設置している新型コロナウイルス関連のWebサイトの事例では、サイト内検索を使⽤しない顧客と⽐較してYext Answersを使⽤した顧客のサイト滞在時間は3.7倍、コンテンツの閲覧量は1.6倍に増えているという。
そのほか、サポートコストを削減している事例もある。アメリカの大手スイーツチェーンでは、コールセンターを外注しており、1コールあたり5ドルのコストがかかる中、売上とは関連しない問い合わせが多いという課題があった。しかし、Yext Answersで問い合わせの多かった質問をFAQに追加したところ、2週間でコールセンターへのコール数が45%減少したという。
また、Yext本社が行った自社サイトへの導入事例では、Answers導⼊後、GoogleのYextブランド検索数が34%減少し、また同時に、Answersでの検索数が上がっているという。清水氏は「GoogleのYextブランド検索とWebサイト内での検索には相関関係があり、Answersで情報を見つけやすくなったことで、Googleに逆戻りして検索することが減らせていることがわかったほか、自社Webサイトへの訪問を促すことができた」と話す。
「プル型」マーケティング強化に期待が集まる
今回、Yext Answersの提供が開始されたことで、日本でもYextの提供する製品群全体を利用することが可能になった。これらにより、各検索プラットフォームと連携した情報の一括更新、複数店舗の口コミの収集や分析など、ユーザー側のアクションに対応した正しい情報提供が可能になる。
Yextの製品ポートフォリオ「Search Experience Cloud」。
企業サイト内検索のほか、Googleなどの検索プラットフォームでの検索体験の向上をサポートする
会見後、編集部の独自取材で清水氏は次のように話した。
「新型コロナウイルス感染拡大中にYextで更新された企業情報は前年比同時期に比べ84%増えました。これは企業が正しい情報を届けようとしている表れです。しかも新型コロナウイルスによる消費者の検索行動の変化が最初にあったのは日本だというデータがあります。
一方で、企業やブランド向けの情報を正しく整理するための構造化データベースは、日本においてあまり広まっていません。Fortune 500の企業において構築できている企業の割合を見てみると、北米の41.7%に対して、日本は1.9%にとどまっています。
Yextでは、これからインテント(検索意図を捉えた)マーケティングの時代になり、広告などのプッシュ型のマーケティングだけでなく、検索体験の向上というプル型のマーケティングがより重要になると考えています」
