A/Bテストは必要ない?AIが予測するマーケティング効果
パーソナライゼーションと並び「Predictive Marketing(予測マーケティング)」という領域も、AIの進化とともに発展する可能性がある。
マーケティング効果を調べるために実施されているA/Bテスト。文言、色、レイアウト、時間などを変えることで、Aパターン、Bパターンのどちらの効果が高いのか分析するもので、マーケティング分野ではかなり広く実施されている方法と言えるだろう。
AIを活用した予測マーケティングが普及すると、このA/Bテストは過去のものになる可能性がある。過去の膨大なデータから、どのようなキャンペーンの効果が高いのかAIが予測してしまうからだ。
Facebook、Instagram、Google上の広告キャンペーンに特化した「Pattern89」は機械学習による予測マーケティングを行うプラットフォーム。

Pattern89のWebサイトでは、世界的な広告代理店Ogilvyが実施したAIキャンペーンの実験結果が紹介されている。
Ogilvyの顧客企業である靴ブランドの広告キャンペーンで、Pattern89によるAIキャンペーンと通常のキャンペーンを同時に実施し、AIによるキャンペーンがどれほど効果につながるのかを調べた。
Pattern89は、広告キャンペーンにおける画像の色や文字数、また効果的な絵文字などを教えてくれる。その情報に沿って広告を最適化した。結果は、通常キャンペーンに比べ、AIキャンペーンでは、インプレッションは41%増、コストとなるインプレッション単価は29%減、収益は5%増加したという。
上記で紹介した他にも、AIチャットボットのDriftやAIアシスタントのCoversica、さらにAIによるレピュテーション管理Yextなど、マーケティング分野に特化したAIツールは多数存在する。
マーケティング領域では、これまでマーケターの属人的な経験・知識・スキルに頼っていた節がある。また「データドリブンのマーケティング」が重要と言われながらも、十分なだけのデータを入手し、適切な方法で分析し、アウトプットにつなげていたケースは少数と言えるのではないだろうか。真にデータドリブンなマーケティングとは、AIツールの普及によって実現されるのかもしれない。