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withコロナ時代に変容する「動画マーケティング」の形

メディア消費の変化がもとらす、新たな動画の役割

 前ページにおけるWyzowlの調査結果は、動画がマーケティングにおいて必要不可欠な要素になっていることを示す数字と言える。それは、消費者のメディア消費のあり方が変化していることを踏まえると必然の変化なのかもしれない。

 消費者のメディア消費の変化は、スマホの高性能化、ネット速度の高速化(4G/5Gの普及)、ソーシャルプラットフォームの動画機能の拡充、ソーシャルメディアにおけるチャンネル/コンテンツの多様化、新型コロナによるロックダウン、など様々な要因が背景にある。

 スマホがあれば、高画質かつハイクオリティな動画コンテンツにいつでもどこでもアクセスできる状況が形成されつつあった中、新型コロナによる移動規制によって、動画コンテンツを視聴する時間がさらに増えた格好だ。

 Statistaがまとめた2020年3月時点のデータによると、ロックダウンを機にソーシャルメディア利用が増えたという割合は世界平均で45%、またNetflixやYouTubeなどのストリーミング視聴が増えたという割合は51%という。この割合は、若い世代ほど高いことが想定される。

 実際、YPluseが2020年9月に公表したZ世代/ミレニアル世代のメディア消費調査では、Z世代が最も視聴している動画コンテンツは1位がNetflix(76%)、2位がYouTube(74%)、またミレニアル世代も1位がNetflix(67%)、2位がYouTube(55%)であることが判明している。

 そして上記で指摘した通りスマホでの視聴が多く、その割合はZ世代で76%、ミレニアル世代で68%となり、ともに視聴デバイスで1位という結果。スマホ以外では、ラップトップ(Z世代48%、ミレニアル世代41%)、ゲーム機(Z世代29%、ミレニアル世代26%)が多い。

 若い世代にとって、動画は生活の一部。エンタメだけでなく、学習や検索すらも動画が中心となっているのだ。

視聴回数60億回以上、YouTubeのインフルエンサーによるスポンサード動画の効果

 冒頭で紹介したWyzowlの調査やYPluseのデータが示すように、動画マーケティングにおいてやはりYouTubeは欠かせない存在だ。特にYouTubeではYouTubeインフルエンサーと提携した、スポンサード動画がブランド認知を高める手法としてよく使われている。

 NeoResearchの調査は、YouTubeインフルエンサーによるスポンサード動画がどれほどのマーケティング効果をもたらすのか、具体的な数値でその状況を伝えている。

 最新の2020年第3四半期(7〜9月)における北米市場の調査レポートによると、YouTubeスポンサード動画マーケティングの支出額上位5つの産業による累計支出額は1億4,800万ドル(約154億円)。最大はテック産業で全体の46.3%を占めた。以下、2位がゲームで22.1%、3位が飲食で16.9%、4位がファッションで7.5%、5位が美容で7.1%。

 テック産業で最も支出額が多かったと推定されるのが、VPN企業のNordVPNだ。同期の支出額推計値は、約1196万ドル(12億4,500万円)で、獲得視聴回数は7,000万回に上った。スポンサード動画は7人のインフルエンサーが作成し、動画数は計87本だった。

 一方、支出額が2番目に多かったのはPaypal傘下のクーポンサービス企業Honey。支出額980万ドル(約10億円)で、獲得視聴回数は6,000万回。インフルエンサー数は56人、動画数は63本だった。

 NordVPNやHoney含め、支出額トップ10企業による累計獲得視聴回数は60億回に上り、前期比で1.6倍という好調ぶりだったという。

 YouTubeはこのほど短編動画機能「Shorts」をローンチしており、動画マーケティングにおいてもこの機能の活用事例が今後増えてくる見込みもある。

 動画が重要といわれながらも、日本ではコストを理由に動画マーケティングに踏み切れないケースも多いように思われる。しかし、消費者のメディア消費の変化を鑑みれば、海外のようにマーケティングにおける動画シフトは必然的に加速していくのかもしれない。

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この記事の著者

細谷 元(Livit)(ホソヤ ゲン)

生成AI関連のトピックを中心に執筆。最近の注目トピック/キーワード:エージェンティックAI、LangGraph、Deep Research、Anthropic、オープンソースモデル

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/02/10 09:00 https://markezine.jp/article/detail/35467

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