※本記事は、2021年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』62号に掲載したものです。
以下6名の方からコメントをいただきました。
Anker 猿渡 歩氏/the kindest 築嶋 宏宜氏/xSleep 内橋 堅志氏/ZENB 長岡 雅彦氏/FABRIC TOKYO 森 雄一郎氏/MuscleDeli 篠田 開斗氏
培ったブランド力を基に、市場を切り拓くフェーズへ(Anker)
Amazonを起点に成長し、「指名買い」に応える自社チャネルも構築
当社は「Empowering Smarter Lives(スマートな生活を後押しする)」をミッションとし、“充電”のグローバル・リーディングブランドの「Anker(アンカー)」を中心に4ブランドを展開しています。創業は2011年、日本法人は2013年に立ち上がりました。
販売チャネルはEC、主にAmazonからスタートし、ブランドの成長とともに他ECプラットフォームや家電量販店などに販路を広げてきました。Amazonを起点とした理由には、在庫の保管や配送を行うFBAの仕組みを活用することでオペレーションの負荷を小さくできることや、集客力を有するプラットフォームに出店することでCPAを押さえられることなどが挙げられます。
2018年からは自社ECと直営店舗もローンチし、「Ankerグループのブランドをまたいで製品を選びたい」と指名買いをしてくださるお客様の利便性を高めるようにしました。
また、ブランドイメージに沿ったコミュニケーションを重視しており、SNSもブランドごとにアカウントを運用しています。Anker製品のコアユーザーは20~40代の男性ですが、ロボット掃除機などを販売するスマートホームブランド「Eufy(ユーフィー)」の場合、最終決済者は女性となることも多く、異なる訴求が必要と考えています。
カスタマーサポートは完全に内製
当社の製品には2014年より「Happy Card」という小さなカードが同梱されており、「Happy?」の面から開くと「友人や家族にご紹介ください」という内容が、「Not Happy?」の面から開くとカスタマーサポートの連絡先が書かれています。カスタマーサポートは完全に内製しており、Amazon上でのレビューや、メール、電話でいただいたご意見を製品の改善に活かしています。
また、自社ECや直営店舗ではプラットフォームを経由すると得られないお客様のニーズや生の声等が聞けるため、フィードバック収集の場として大切にしています。
次なる目標はプロダクト自体のカテゴリー認知が低い製品について、市場を開拓していくことです。たとえば家庭用のスマートプロジェクターブランド「Nebula(ネビュラ)」は家族や友人と過ごすシーンで多様な使い方ができる製品を展開しており、昨今のおうち時間需要を鑑みると急速に浸透していく可能性をもっています。新たな需要を創造し、スマートな生活の実現に寄与できればと考えています。
アンカー・ジャパン 取締役 COO 猿渡 歩氏
お客様の「目的達成」をコミュニケーションのゴールに据える(the kindest)
購入前より購入後のサポートを優先
2019年4月より日本初のベビーフードD2Cサブスク「the kindest(カインデスト:旧Mi+ミタス)」を展開しています。「やさしさで、世界を変えていく」をテーマに赤ちゃん、ママやパパはもちろん、生産者さん、製造者さんにもやさしいベビーフード作りをしています。販売チャネルはほぼ自社のオンラインショップで、発送数は50万食を超えました。
お客様との接点に関しては、購入前相談から購買後のフォローまで一貫してLINEを活用しています。お客様には必ずこの商品を買った目的や背景があり、それを達成することをコミュニケーションのゴールとしています。サービスのタッチポイントを4幕構成やカスタマージャーニーで精緻に洗い出し、場面ごとに必要とされるコミュニケーションを特定しています。
またコミュニケーションを購入前、購入後、カスタマーサポート、カスタマーサクセスに分けてそれぞれ設計をしています。ここで大事なのは構築する順序です。D2CやサブスクではLTVが何より大事なので、購入前より購入後が優先されます。また、いくら+αのサービスを提供しても、基本的な対応が当たり前にできていなければ、お客様は失望してしまいます。だからこそカスタマーサクセスよりカスタマーサポートを優先的に構築してきました。これからはより、カスタマーサクセスに力を入れ、顧客満足度の底上げをしていきます。
すべては顧客の行動・心理データから
すべての答えはお客様の中にあると考え、サービス全体のUXから、サイトのUI、商品の品質や味、香りに至るまで顧客接点で得たデータを基に改善を繰り返してきました。データとそれに基づく仮説に依拠しない施策は、外れることが多いです。また、商品開発や機能開発など先行投資が大きいものほどデータ分析やデプスインタビューを入念に行い、できるだけスモールに始められる体制を整えています。
今後の注力ポイントは認知、そして浸透です。より多くのお客様にthe kindestを楽しんでもらえるようにサービスの価値向上と認知拡大に尽力し、子育て世帯にとって「当たり前」のブランドを作っていきます。
MiL 執行役員 築嶋宏宜氏