Amazon、Twitterも本格始動するポッドキャスト市場
2020年末~21年年初にかけてポッドキャスト市場に慌ただしい動きが見られ、同市場で波乱が起こることを予感させてくれる。
まず、2020年12月30日にはAmazonが米ポッドキャスト企業Wonderyを買収し、同年9月に開始したAmazon Musicのポッドキャストサービスに加えることを明らかにした。
ウォール・ストリート・ジャーナルが12月2日(現地時間)に報じたところでは、AmazonはWondery買収で、3億ドル(約312億円)の買収額を提示。CNBCによると、Wonderyの月間ユニークリスナー数は1,000万人以上だという。
Amazonは、オーディオブックを通じた音声コンテンツリスナー基盤を有しているが、Wondery買収で、SpotifyとAppleの二強が幅を利かせるポッドキャスト市場でもシェアを広げる狙いだ。
また2021年1月4日には、Twitterがポッドキャスト企業Breakerを買収するとの報道が駆け巡った。
さらに同年1月15日には、Appleが新たにポッドキャストのサブスクリプションサービスを開始する計画を発表。その後、Spotifyの株価が6%以上下がるという事態が発生している。これを機にAppleのポッドキャストの取り組みが一層強化されるのではないかという期待、また市場が「ポッドキャスト」という要素を重要視していることを示す出来事といえるだろう。
実は、このようにポッドキャスト市場で統合が進むだろうとの予測は、2020年12月初旬にポッドキャスト業界のキーパーソンたちによってなされていた。
カナダのポッドキャスト・エージェンシーPacific Contentは2020年12月2日、2021年のポッドキャスト業界予想と題し、業界キーパーソンたちの声をまとめた記事を公開。2021年のポッドキャスト市場は引き続き、買収・統合が急ピッチで進み、大手プラットフォームとパブリッシャーの影響は一層増すだろうとの予想を展開していた。
ポッドキャスト業界キーパーソンたちの予想
業界キーパーソンらは、買収・統合とともに、広告テクノロジーの活用も増え、アナリティクスの透明性が増すだろうとも予想している。これによって、ポッドキャストに広告出稿するブランド企業も増えることになり、エコシステムがさらに発展し、市場が大きく伸びる可能性があるという。
冒頭Amazonに買収されると報じられたWonderyの創業者兼CEOのエルナン・ロペス氏は、2020年初めに同年米ポッドキャスト市場の広告収入額が10億ドルを超えると予想したが、新型コロナウイルスの影響でその予想は実現しないだろうと指摘。しかし2021年、広告収入額は確実に10億ドルを超え、その上限は未知数になるだろうと強気の姿勢を見せている。
Apple、Amazon、Twitterなどのプラットフォーマーがポッドキャスト関連の動きを加速させていること、またSpotifyがポッドキャストエコシステム醸成に力を入れ始めていることを鑑みれば、ロペス氏の予想も2021年には実現する可能性は十分にあるだろう。