ポッドキャスト市場におけるマネタイズの課題
現在ポッドキャスト市場のエコシステム醸成における課題の1つとなっているのが、ブランド企業による広告出稿をどう促進させるのかという点だ。
adexchangerが伝えた広告テクノロジー業界団体IABのデータによると、ブランド企業の全メディアに対する広告支出で、ポッドキャストが占める割合は0.4%にとどまっている。
ブランド企業による広告出稿でポッドキャストの割合が低い理由は、広告効果に関するレポートと測定がアナログであり、正確にROIを知ることができないためだったといわれている。
ポッドキャストを聞く方法は、スマホアプリでポッドキャストをダウンロードするか、ストリーミングで聞くかの二通りある。これまで主流だったのがダウンロード。ダウンロードされるコンテンツに、音声広告をつけることは可能だが、その広告が実際どれほどの長さ視聴されたのか、またリスナーがどのような反応を示したのかを知ることは難しい。
この課題は、ポッドキャストの視聴がダウンロードからストリーミングにシフトしていること、またSpotifyによるMegaphone買収を機に、業界全体で改善していく可能性がある。
Spotifyは2020年11月、2億3,500万ドルでポッドキャスト専門の広告プラットフォームMegaphoneを買収。同年1月にローンチした独自のストリーミング広告挿入(SAI)機能をスケールさせる仕組みを整備した。

Megaphoneは、ポッドキャストのパブリッシャーと広告出稿企業が利用するプラットフォーム。パブリッシャー向けには、リアルタイムのパフォーマンスを計測し、コンテンツをマネタイズする仕組みを提供。一方、広告出稿企業には、年齢・性別・場所など多数の要素を基にした精度の高いターゲット広告の仕組みを提供している。
Megaphoneのパブリッシャー顧客には、ウォール・ストリート・ジャーナル、ブルームバーグ、マーベル、ESPNなど大手メディアが名を連ね、広告出稿企業には、Google、ソニー、ベライゾン、レクサスなどの大手企業・ブランドの名が挙がっている。
SpotifyによるMegaphone買収によって、広告出稿企業はSpotifyのオリジナル/専属ポッドキャストを聞くリスナーにリーチしつつ、Megaphoneのマーケットプレイス/ネットワークを通じて、そのリーチを拡大できるようになることが期待されている。
パブリッシャーにとっては広告収益を拡大するチャンス。収益が上がれば、ポッドキャストコンテンツ制作はさらに加速し、市場全体のエコシステムの醸成につながる可能性もある。