WHOとWHATを見極めと施策実行がグロース戦略の肝
現王園氏の解説に加えて、セッション後半では菊地氏、新田氏を交えたディスカッションも設けられた。メルカリUSの事例から「誰に何を送るか、つまりWHOとWHATを見極めることがグロース戦略の肝だとよくわかった」と菊地氏。それができる環境を作ることが、これからグロースマーケティングに取り組む日本企業にとって最初のステップになるかと問われた現王園氏は、「WHOとWHATを見極め、かつ“膨大に送れる/試せる”ことが必要」と答える。
「グロース戦略で難しいのは、何が当たるかはやってみないとわからないことです。つまり、試す手数の差が成果に直結します。WHOとWHATの戦略と、どうアプローチするかの施策を組み立てても、実行できなければ絵に描いた餅で終わってしまう。どんどん回せる状態が大事だと思います」(現王園氏)
また、「業界平均よりもプッシュ通知の開封率が40%も上がっているデータをどう受け止めているか」という新田氏の質問に対しては、率直に「チームとして誇りに思った」と現王園氏。
Brazeを本格的に使い始めて以降、リアルタイム性やパーソナライズのインパクトを確かめるために、一斉配信なのか、それともイベントベースなど顧客によって異なるダイナミックメッセージなのかをタグ付けし、開封率の差や推移を確認していったという。すると一斉配信は送れば送るほど開封率が下がるが、ダイナミックなメッセージは送信数が増えても開封率が上がる状態に。「やはりパーソナライズは重要だと確信しました。最適な人に最適なタイミングで最適な内容を送れるよう追求した結果、開封率の高さにつながっていると思います」と現王園氏。
エンゲージメント構築からグロースまで、一気通貫で実現
現王園氏の話からもわかるように、マーケターの発想力を引き出し、アイデアのスピーディーかつ容易な実現を技術で支えるプラットフォームだからこそ、BrazeはメルカリUSのマーケティング基盤になりえたのだろう。本セッションでは、Brazeの優れた操作性や直感的なインターフェースについても新田氏から紹介された。
Brazeでは統合マーケティングプロファイルとして、顧客プロファイルを一人ひとり管理する。属性や行動などの情報が集約されており、これをセグメント作成時の条件に利用できる。
たとえば顧客の位置情報を利用した店頭キャンペーンなら、地図上で直感的にジオフェンスを設定した上で、「アプリを30日で一度も使っていないユーザー」といったセグメント条件を設定。Brazeではこの段階で、該当するユーザー数や、どのチャネルが最も効果的に配信できるかも確認できる。また、以降のアクションやメッセージ内容の設定も、Brazeのカスタマージャーニーツール「Canvas」上で専門知識なく進められる。
「ドラッグ&ドロップで使えるCanvasでは、最終的にどのような内容を顧客に表示するかまでスムーズに設計できます。リアルタイムでの顧客エンゲージメント施策を非常に簡単に実現でき、かつ高速PDCAを回せるのはBrazeの大きな強みです」と新田氏。
Brazeのサイトでは今回紹介したメルカリUSのほかにも複数業界の事例や、Canvasなど各ツールの詳細を確認できる。顧客に寄り添い、受け入れられるアプローチを重ねてエンゲージメント構築からグロースにつなげる「グロースマーケティング」の第一歩に、Brazeが強力なパートナーとなるだろう。