具体的なTipsでターゲット可視化を実践!
最後にこの日のセッションでは、2つのサークルのうち「ターゲットを可視化する」部分について解説。サークル内の4つのステップをどう進めていくか、具体的なtipsが説明された。
1.既存顧客のデータを取り込む
はじめに、名刺管理システム、営業管理システム、マーケティング管理システム、請求管理システムなどいろいろなところに散らばっているデータを集約し、整備するところからスタートする。
ここで重要なのは、顧客データの表記ゆれをなくすこと。たとえば、企業リストには「株式会社ユーザベース」、名刺管理システムには「Uzabase」、請求管理システムでは「(株)ユーザベース」などと登録されていることがある。表記ゆれにより複数の取り引きや接点があるように見えてしまうため、同一企業に名寄せをすることが大事である。
顧客データを集約したら、内部データ、外部データの順に統合していく。
内部データは、「株式会社ユーザベースに1,500のリードがある」「過去に20の商談があった」「そのうち受注額は4,100万円だった」など。外部データは、企業の属性、規模、社員数、業界、特徴、BtoB事業なのかBtoC事業なのか、広告投資の度合い、COVID-19の影響を受けているか否かなど。顧客分析に必要な外部データを統合して、リッチな顧客データを整備する。
2.既存顧客の傾向把握
次に、既存顧客のデータをもとに傾向を把握する。ここでは、セグメントを切り口にしてデータを見るとよい。
たとえば、下図のように「特徴」というセグメントで見ると、海外進出している企業、DXを推進している企業の受注率が高いことがわかる。
最近では、どのようなITツールを使っているのかもわかりやすい切り口になる。ヒートマップツールやウェブ接客ツールを使っている顧客からの受注率が高い、などと糸口が見えることもある。
あらゆる情報でセグメントを切って顧客を分析し、どこが受注率が高いかのかを見極めていく。
3.潜在顧客の特定
次は、既存顧客の傾向から理想の顧客の条件とストーリーを具体的に特定する作業だ。
まず、Tier1(優先度1のセグメント)は「新規事業立ち上げでTHE MODEL体制(※)に移行したい大手企業」というようにキャッチーな言葉で企業を表す。その後、「この企業にはどういうキラートークや勝ち筋がハマるか」「理想の既存顧客」「具体的にどういう特徴のある企業が当てはまるかの抽出条件」をセグメントシートに書き込んでいく。
セグメントシートができたら、受注率やリード保有率、商談実績などの社内のSFAなどに保有している内部データを統合する。
これによって、Tier1(優先度1のセグメント)には368社を設定したが、内部データを見るとすでにそのうちの345社のリードが獲得できており、このセグメントは新規リード獲得がミッションのマーケティングとしては伸びしろがない、などと考えることができるようになる。
最後に、営業部門と一緒にセグメントシートと各セグメントに該当する具体的な企業名のリストを見て、営業部門が良しとしない企業があれば外す、というステップを経て、最終的なターゲットリストとして合意する。
(※)THE MODEL:福田康隆氏による書籍『THE MODEL(MarkeZine BOOKS)マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス』で解説されている。
短期指標にとらわれず、中長期的に取り組んでほしい
以上が、セッションで公開された「ターゲットを可視化する」という1つ目のABMサークルのステップである。営業部門、マーケティング部門、戦略部門で合意しながら作成したターゲットリストをもとに、ここからは各部門が行うべき施策を実行し、効果検証するという流れだ。
最後に田口氏は「今日はターゲットを可視化するところまででしたが、いろいろな情報発信をしているのでぜひ見てみてください。ABMには各部署のコミュニケーションが不可欠で、短期指標にとらわれず、1~3年で腰を据えて取り組むことをおすすめしています。みなさんも今日から、成果の最大化に取り組み始めませんか?」と締めくくった。
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