2,000人以上のマーケターと共創するABMプラットフォーム
「未来のマーケティングを共創する」というビジョンのもと、2017年にユーザベースの新規事業として登場したBtoBマーケティングプラットフォーム「FORCAS」。最先端のBtoBマーケティングメソッド「ABM(アカウントベースドマーケティング)」を素早く簡単に実行することができる、ABMに最適化されたプラットフォームであり、すでに多くの企業に導入されている。
機能を提供するだけでなく、2,000人以上のマーケターコミュニティで行われるマーケティング事例の共有や、ユーザー企業から寄せられた声をもとに、ABMを成功させるための仕組みを開発している点もFORCASの特徴だ。これまでに150以上の機能が、ユーザー企業の声をもとに実装されたという。
2021年3月に開催された「MarkeZine Day Spring 2021」に登壇した株式会社ユーザベース FORCAS事業の執行役員 CEO 田口槙吾氏は、これまでの実績と蓄積されたノウハウをもとに、ABMの基本理念から成功の秘訣、最新版のベストプラクティスまでを公開した。
なぜ注目されているのか。ABMの定義を再確認
2016年頃からアメリカを中心に関心が高まってきたというABM。2019年時点では、すでに94%のマーケターがABMに取り組んでいると回答したとの調査結果(5 Key ABM Trends for B2B Marketers to Track Heading into 2020)があるほど、アメリカでは浸透しているBtoBマーケティングの手法だ。
田口氏は「徐々に日本でもABMの熱が高まり、高い効果が出ているユーザーも多くなってきたと感じている」と話し、以下をFORCASの考えるABMの定義として提示した。
この定義から起こりがちな誤解として、「ABMってアウトバウンド施策のことでしょとか、超大手企業だけを対象にするんでしょ、などとよく言われます。それらもABMのひとつの施策ではあるものの、全てがそうではありません。中小・中堅企業を含めて多くの顧客企業をターゲットとする場合にも効果的な手法です」と田口氏。
従来より一般的であるリードベースドマーケティングと比較して、その有効性を解説した。
リードベースドマーケティングでは、ファネルと呼ばれる逆三角形の図が使われる。上部の「認知獲得」が多ければ、そのうちの一定数がリードになり、商談につながり、受注に至るという考え方だ。よって、認知やリードの獲得数を増やせば増やすほど受注につながるとされる。
これを実行するメリットもあるが、デメリットもある。たとえば、認知獲得やリードの量の最大化に走ると、すべてのリードの質が同じわけではないため質が不安定になってしまい、無駄が多く発生する、生産性が上がらない、部署間の連携が悪くなる、などの課題が出てくる。
これに対し、ABMはターゲティングを認知獲得よりもファネルの上にもってくる考え方である。
まず、マーケティング部門、営業部門、戦略部門で狙うターゲットについて合意する。そのターゲットに最適化された施策を全部署の共通認識のもとで実施するため、部署間の連携もスムーズになり、量と質の最大化を実現できるというものだ。
「ABMを実行すると、ターゲット企業(ターゲットセグメント)を共通言語にして各チームが動き始めるので、チーム間の連携が以前と比べて圧倒的にうまくいくようになる。これがABMにおけるひとつの特徴です」(田口氏)
では、ABMにトライすると簡単に成果が出るのか? というと、そんなことはない。「中長期的に取り組めば大きな改善を見込めるのがABM」として、田口氏はABMで成果を上げるために重要な要素を2つ挙げた。