「スナックかすがい」が生まれるまで
原:初めに「かすがい」の名前の由来から紹介したいと思います。弊社は愛知県春日井市にも工場があるため、春日井市が本社と思われることが多いんですが、じつは違います。1928年に創業した春日井清雄という創業者の苗字から名付けられていまして、本社も創業地である名古屋市西区なんです。

原:一方で、ことわざの「子はかすがい」を思い浮かべる人も多いんですよ。子どもは夫婦をつなぎとめる存在という意味で使われますが、この「かすがい」とは、揺らいだら困る、縦と横の柱をガッチリつなぎ合わせる“コの字型の釘”のこと。春日井と鎹は音も同じですし、これを活用しようと思いつきました。

原:そして、作ったのが「Kasugaiは、お菓子を通じて異なる価値を力強くつなぎ合わせ、新しい成果(製菓)を出し続ける会社」というコミュニケーションアイデアです。

原:とはいうものの、創業から93年も続く老舗企業に外から入った輩が、いきなりこんな勝手な講釈を垂れてもおこがましいよな、と思い、もっと受け入れやすい伝え方を考えて思いついたのが、「スナック」というフォーマットでした。
スナックは人が集まって、飲みながら堅苦しさ抜きに話せる場所ですし、なんといってもうちにはおいしいおつまみの『グリーン豆』がありますから、“かすがう”=人と人がつながり合う場として、スナックは最適だと思ったのです。
2018年9月に入社して2ヵ月半後の11月末に、1回目の「スナックかすがい」をスタートしました。
異色のゲスト同士を繋ぐのが売り
原:「スナックかすがい」は、異なる分野で活躍するお二人をゲストに迎えて語り合っていただくトークイベントです。ゲストのキャスティングやテーマ設定、当日の司会進行は私が行いますが、お菓子の手配や詰め合わせ作業、会場の設営やドリンクの給仕などは会社の同僚たちにサポートしてもらっています。リアルであれオンラインであれ、春日井製菓のお菓子や社員が“かすがい”となって人と人を笑顔でつなぐことができたら素敵だなと思っています。

原:誰でも参加できるイベントですから、参加してくださった方の中には、それまで春日井製菓を知らなかった方も多いです。コロナ禍の前は毎月開店していまして、東京では50~60名、名古屋では120名もの方々に毎回集まっていただいていました。2021年2月18日に実施した回で19回目となります。

原:「こんな取り組み、よく会社が許してくれたね」と言われるのですが、リアルで開催している時は、ほとんどお金が掛かっていないんです。会場は我々の所属するマーケティング部が入居するWeWork新橋のラウンジで、条件を満たせば無料で貸してくれますし、おいしい生ビール2種もタダで飲み放題。うちは『グリーン豆』などのおいしい豆のスナックを売るほど作っていますから、食べ放題にしても安いものなんです。元々WeWorkが人との出会いや新しい人とのコミュニケーションを促進しようという場所づくりをされているので、最適な場でした。