「そのDXに意味があるのか」を検証する
吉岡:弊社では、「DX推進や新たなシステムの構築に、本当に意味があるのだろうか」という“そもそも論”から相談をされることもありますね。そのため、仮説検証といったディスカバーフェーズを大切にし、戦略部分からクライアントと一緒に考えます。
特にマーケティング視点では、上層部から新ツール導入ありきで話を進められたものの、それがROIと合わないといった悩みを聞きます。そうしたケースでROIの算出を仮説ベースでお手伝いできるのは我々の強みです。
越久村:「DX推進を目標に新組織を作り、横断型プロジェクトが走っているものの、具体的な進め方がわからない」という声も聞きます。組織が大きくなるほどハブ役としてプロジェクトを推進していく人材が求められますよね。でもそこが不足していることが多い。
また、マーケティング面の一番の課題は、データをマーケティング部隊が使いやすい状態にすることですね。会社が100社あれば100通りのDXがあります。我々はビジネス課題から工程を認識し、施策を俯瞰して再構築するお手伝いをします。
広告領域の強みもそのままにDXの全領域をカバー
――今回のDDXGのサービス領域は、従来のシステム構築支援やコンサルティングとはどのように違うのでしょうか。
中村:3社がそれぞれの得意領域で互いを補い合うことで、DXに関わる領域全般をカバーしています。
中村:特徴的なのは、顧客目線、顧客体験目線のアプローチからスタートするところ。コンセプト作りからカスタマージャーニー設定、プロトタイプ作り、そして構築する仕組みの価値検証まで行います。
そのほか支援していて重要に感じるのは、見落としがちな裏側のオペレーションですね。顧客体験を突き詰めるのは重要ですが、その裏側に「どんな業務がどんな分量であるのか」を意識せずに進んでしまうと、運用に入ってから痛い目に合います。顧客体験が氷山の一角だとすると、裏側の業務は海中の巨大な氷塊のイメージ。そこまでカバーできるのも3社協業の利点です。
目指すサービスモデルがOne to Oneですと、ネームドユーザーとのコンタクトやリテンションが基軸となります。一方で、新規顧客も開拓したいしアノニマスからの連続性も欲しい。そのために必要な広告領域もスコープに入れられるのは我々の大きな強みですね。
越久村:日本ではコンサルティングファームが広告領域の機能を持っていないことが多いです。電通デジタルの中には大きなデジタル広告の部門があり、長年の支援経験があります。他社にはない範囲でソリューションをカバーしています。
吉岡:アイソバーは自社メディア、自社コンテンツに注力していたので、今回、電通デジタルと合併してペイドメディアまでカバー領域が広げられるのはとても大きなメリットです。電通グループとして蓄積されてきた広告領域の強みを活かしつつ、合併といった構造改革を経ることでDX、CX のサポートの強化も進められると考えています。