2020年、Teadsとグローバル・ディール・パートナー契約を締結
1933年創業の日産自動車(以下、日産)は、創業以来「他がやらぬことをやる」という精神を掲げ、自動車業界の技術発展をけん引してきた。たとえば電気自動車分野では、高いバッテリー性能を持つリチウムイオン電池を1990年代から採用し、2000年以降も高パフォーマンスの蓄電池と自動車性能の向上に努め、この分野の研究・開発を先行してきた。このように、「技術の日産」というブランド力を背景に、様々なライフスタイルに合ったクルマをターゲット層に適切に提案していくのが、同社のマーケティング部隊の役割だ。
日産自動車 日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部の塚原幹也氏は、メディアグループに所属し、媒体社とのリレーションシップを通じて、ブランド訴求とマーケティングの推進、およびビジネスへの貢献に努めている。
「私たちのグループは、日産ブランドの復活を目指す一方、『人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける。』というコーポレートパーパスを消費者に届け、各車種モデルのマーケティングの一旦を担い、マーケティングのみならずビジネスに貢献することが求められています。具体的にいえば、新聞や雑誌、テレビなどのメディア全体を見て、収益ゾーンの高さやセールス状況など様々な市況を鑑みて投資を検討し、メッセージを届けることがミッション。私はそのなかで、特にデジタルメディア領域においてパフォーマンスの良いメディアを抽出し、新しい取り組みを積極的に採用してメッセージを発信する等のマーケティング活動の一端を担っています」(塚原氏)
日産が、フランス発の広告プラットフォームのTeadsとグローバルパートナー契約を締結したのは、2020年4月のことだった。
多彩なクリエイティブ、クッキーレスのターゲティングに期待
日産がTeadsを評価した第一の理由は、リッチなクリエイティブフォーマットだ。Teadsのインリード広告のフォーマットは多彩な表現力が特徴で、さらに社内にも戦略やキャンペーンの目的に応じ、様々なソリューションを提案する知見がある。従来のデータターゲティングを活用した配信や、ブランドリフトサーベイなどの分析も行える。
そしてもう1つ、Teadsは、Cookieを使わない独自のターゲティング手法を持っていることも大きなポイントだった。その手法とは、(1)オーディエンスターゲティングと、(2)コンテキストターゲティングの2つのこと。(1)は、Teadsが独自で蓄積したデータを基盤に、オーディエンスをリアルタイムにプロファイリングして、マーケットのリードイニシアティブであるUnified IDや、Google Privacy Sandboxなどのソリューションを掛け合わせて、クッキーレスのターゲティングを実現する技術。(2)は、従来のキーワードターゲティングではなく、広告を掲載する記事の文脈を独自に解析して、500以上のTeads独自のセグメントに分類してターゲティングを行う手法だ。
「日産社内としても、今後本格化するクッキーレス時代に向けて、『注意してメディア戦略を立案しよう』という動きがありました。そのため、Teadsの持つ多彩なリッチフォーマットやソリューションと共に、クッキーレスターゲティングに大きな魅力を感じました」と塚原氏。
日産とTeadsのパートナーシップはグローバルで締結したもので、日本国内では日産 日本マーケティング本部と、Teads Japanが国内市場の特徴を見ながらローカライズし、クリエイティブ制作やプラン策定に当たる。特に目前に迫ったクッキーレス時代に向け、日産が採用したのが、コンテキストターゲティングによる広告配信だ。
果たしてコンテキストターゲティングは、Cookieベースのターゲティングと比べて効果に違いはあるのか。そこで日産とTeads Japanは、2020年9月〜2021年2月にかけ、「日産ルークス(ROOX)」(以下、ルークス)のプロモーションに当たり、コンテキストターゲティングとCookieターゲティング配信でA/Bテストを行った。