「テレビとデジタル」のアロケーションモデル
さて、ここからはアロケーション要素について説明していきましょう。ここでも、何を最適化するか、その目的によってアロケーションモデルは変わっていきます。まずは目的別に、最も最適化が単純なテレビとデジタルのアロケーションモデルを3つ紹介しましょう。

1、ターゲットリーチを最大化(同じ投資額で最大化)するための配分
これは比較的簡単にできます。テレビとデジタルのターゲットリーチ効率から、最適な配分を算出することです。テレビだけでは若年層にはリーチしにくいことは明確です。これをデジタルで補完するという極めてわかりやすい理屈です。
ただ従来のようにデモグラだけでターゲット設定するだけではあまり意味がありません。リーチさせたい層をいろんな角度で切り取ってターゲティングすることが必要です。
2、認知効率を最大化するための配分
ブランド認知を同じコストで最大化するには、検証が必要です。それぞれの接触者に認知調査をして、その効果検証データをもとに最適配分を導き出します。
テレビではフリークエンシーが2極化する傾向があり、これをデジタルと統合してフリークエンシーバランスを補正することで、認知効率が上がります。
またターゲットにおいてはテレビで何回、デジタルで何回接触した人のブランド認知が最大化するかを確認できると、「打ち方」が定まってきます。ただ認知ということになると、ここからはクリエイティブの変数が関わってきます。
従来テレビCMを中心にクリエイティブ制作をしてきましたが、デジタル動画の視聴環境や視聴態度を考慮したクリエイティブも検討しなければなりません。
3、態度変容効果(購入意向・購買データ)を最大化するための配分
ブランドごとに検証して、目的変数を購入意向や購買データにおいて、説明変数としてのテレビ×デジタルの組み合わせ方と配分を導き出します。
これまでの調査では、テレビCMとデジタル動画広告の両方に接触した人の購入意向が高くなることが確認されています。いかにターゲットに両方接触させるか出稿枠や投下タイミングに工夫が必要になります。
これらは、最適化が最も単純なテレビとデジタルのアロケーションモデルです。
ただし前述したように、これも本当はテレビCMとデジタル動画を一定の役割を担わせることが設定された後の配分の考え方となります。
おそらく、こうしたアロケーション最適化で最低でも15%前後の効率改善が期待できると思います。100億円テレビとデジタルに広告投資しているのであれば、15億の効率改善が期待できるはずですから、経営者はデータ購入や検証に予算をつけることに逡巡してる場合ではありません。
次回は、「ターゲットリーチの最適化」のアロケーションモデルについて、デモグラではなく、購買データなどから最適化する方法を実際のデータを用いて解説していきます。