マーケティング活動の連動性、ビジネスインパクトを意識する
マーケティング活動の連動性を踏まえて課題解決策を導き出すにはどうすれば良いか。引き続き、ナーチャリングの効果改善を例に話を進めていきます。
自身の担当領域外にも考えを巡らせよう
MAの入り口はリードの獲得です。より多くのリードを集めたいところですが、ただ無作為にリードを集めれば良いというわけではありません。リードを獲得したら、まずは集めたリードがどこから、どのように獲得されて、「現在どのような心理状態」なのかを押さえます。たとえば、展示会で通りすがりに名刺を交換しただけなのか、それともブース内で商談を行い、説明資料を持ち帰ったのか。前者と後者では、商品検討・購入に対する温度感に雲泥の差があります。
このようなリードの状態を踏まえた上で、ナーチャリング施策の範囲内でできることと、そもそもナーチャリングに至る前のリード獲得の段階で実施すべきことを分けて考えていきます。もし、獲得したリードの大多数が温度感の低い=質が低いリードの場合、これらのリードに対しどんなにナーチャリング施策を実施しても成約に至る確率は低く、高い成果を出すのは難しいでしょう。このような場合は、ナーチャリングではなく、リード獲得施策を見直すことで、ナーチャリングの成果を押し上げる可能性が高くなります。
ナーチャリングで効果が出ないと悩むお客様の多くが、リード獲得施策の見直しを行わず、リードの質が低いままナーチャリング施策の範囲だけで改善しようと頭を悩ませています。しかし、上述したようにマーケティング活動は様々な要素が連動しているため、原因は自身の担当領域の外にある、というケースも実は非常に多いのです。リードの獲得とナーチャリングは担当部署が違うこともあるため、手を入れるのは難しい、という声も聞きますが、最終的な成果への貢献を目指すのであれば、この部分にテコ入れすることが必要でしょう。
レバレッジポイントを意識しよう
ここでは、100件のリードを獲得したと仮定します。成約率が5%なら「5件」が成果となります。そこにMAを導入し、リードの獲得件数が1.2倍の120件になったとしても、成約率が5%なら、成果は「6件」です。これではMAの効果をさほど感じられないでしょう。しかし、MAを導入せず成約率を5%から2倍の10%に押し上げる施策を実施することができるなら、成果は「10件」となり、MAを導入する場合と比べて、2倍の成果を期待できます。
このように、どこに注力するのがより大きな成果につながるのかを考えることを「レバレッジポイントを見つける」という言い方をします。レバレッジポイントは直訳すると「てこの作用点」のことで、てこの原理のように小さな力でも大きく変化を起こせるポイントのことを指します。
ほとんどの企業においてはマーケティング活動に割けるリソースは限られ、マーケティング全体にまんべんなくリソースを割り振ることはできません。そのような中で、どこに注力するのが最も効果的なのかを考えることで、少ないリソースを効率的に使い、最大の効果をもたらすことができるのです。
他にも、こんな状況の企業はありませんか?
【ケース1】
検索ボリュームは少ないが、サイト流入数を増やすために自社サイトに掲載するコンテンツを強化しよう。
【回答1】
検索ボリュームが少ない状況で自社サイトの改善に取り組むことは、本当に効果的でしょうか? 他に効果的な施策やポイントがあるのではないか、と疑ってみるべきです。もしかすると、既存顧客と強固な関係が構築されており、かつ、さらに売上を伸ばすための商材も十分にあるとすれば、MAではなくSFA(営業支援ツール)の活用にリソースを割いたほうがより効果的かもしれません。
【ケース2】
メール開封率を改善するために、件名の工夫や送信タイミングを試行錯誤しているが、なかなか成果が出ない。
【回答2】
開封率は件名や送信タイミングだけに影響を受けているわけではありません。リストの質にも大きな影響を受けています。そのため、件名やタイミングに工夫をこらす時間と人材を、獲得リードの質の向上に振り分けるほうが、開封率が上昇することもあります。
以上のように、思うような成果が出ないときは、自身の担当領域外にも考えを巡らせ、最も効果的なレバレッジポイントを特定しましょう。繰り返しになりますが、意識すべきなのはマーケティングの連動性です。