業務負荷が高い=ビジネスインパクトが高いわけではない
他にもよくあるのが、難易度や業務負荷が高い施策が、大きなビジネスインパクトにつながると勘違いしてしまうこと。その最たる例が、上述した「検索ボリュームが少ないのにコンテンツマーケティングを強化してしまう」ケースですが、工数やコストをかけた大がかりな改善施策が、必ずしも大きなビジネスインパクトにつながるわけではないのです。改善施策がなかなか最終成果に結びつかないのであれば、注力ポイントを間違えているのかもしれません。状況を俯瞰し、自社では手の付けられない領域と、自社の努力で変えられる領域を改めて整理してみましょう(図表2)。そして、各々がどのような影響を与え合っているのかを掘り下げてみましょう。

How to(手法)ではなく、Why(動機)から考える
最後にもう一つ。大切なのは、「部分は全体のために存在している」という視点です。企業でいえば、全社の成果を上げるために各部門の働きがあります。すべての業務は全体の結果に関連し、貢献するためのものなのです。とはいえ、BtoBマーケティングにおいてこのような考え方を持つのは難しいのも事実です。Web上には、コンテンツマーケティングやインサイドセールスの手法、データ分析など、いろいろな「How to」があふれています。どうにかして改善を行いたいと思った時、そのような手法を取り入れたくなるのは当然のことです。しかし、安易にそれらを取り入れても期待するような結果が得られることは少ないでしょう。
改善を行う際、最初に考えるべきは“How to”ではなく、自社・自部署のできる内容を踏まえ、どこに注力すれば目的を達成できるか、効果が最大化するのかを検討することです。成果を急ぐあまりやみくもに施策を実施することはギャンブルに近く、ビジネスを運試しの実験場にすることは、ビジネスパーソンとしてはあってはならない姿勢だと思います。部分的改善には限界があり、対症療法だけでは最終的な成果につながりません。全体を俯瞰し、ビジネスインパクトを意識する考え方で、今一度注力ポイントを検討してみましょう。この記事が今まさにBtoBマーケティングに悩んでいる方の一助になれば幸いです。
COLUMN リモートワークでのアイデア創出のコツ
リモートワークが続くと、近くにいる人と気軽に話す機会が減ってしまいます。そのため「新しいアイデアを生み出すきっかけがなくなってしまった」と感じている人も多いのではないでしょうか? アイデアを生むには、他人との会話を通じて異なる刺激を脳に与えることが必要です。そこで私は、オフィスでの会話から刺激を得る代わりとして、日頃接することのない領域の本や記事を意識的に読むようにしてきました。そうすることで誰かと話をするのと似たような環境が生まれ、良いアイデアが出てくる時の感覚を取り戻すことができています。実はこれは、セレンディピティという偶発的な体験を創出する方法としても知られています。ぜひ、試してみてください。