※本記事は、2021年6月25日刊行の定期誌『MarkeZine』66号に掲載したものです。
ワンチームで進めた「生ジョッキ缶」のプロモーション戦略
――はじめに、喜多野さんが担当されている業務について教えてください。
喜多野:アサヒビールデジタルマーケティング部の喜多野です。まずは、スーパードライ生ジョッキ缶につきまして、発売まもなく一時休売となり、多くの方々にまだお試しいただけていない事をお詫びさせてください。さて、改めまして担当業務につきましてですが、私は大きく2つの業務を担当しています。ひとつはアサヒビール公式Twitterアカウントの運用で、もうひとつが今回お話しする「スーパードライ」関連のデジタルコミュニケーションの企画運営です。
一口にデジタルコミュニケーションと言っても、弊社はLINE、Twitter、Facebook、Instagram、自社ホームページと、たくさんのプラットフォームを活用しています。私はスーパードライブランドを中心に考えた時、お客様とどのタッチポイントで、どのようなコミュニケーションをとっていくべきかということを考えています。
アサヒビール株式会社 デジタルマーケティング部 プロデューサー
喜多野美鈴(きたの・みすず)氏2002年アサヒビール入社。東北地区本部量販業態におけるエリア販促業務に配属以降、育児休暇等も経験しながら、出向先関係会社でグループ事業会社のデジタルマーケアドバイザー、機能性ビール類における量販業態での販促業務等に従事。2016年以降現職のデジタルマーケティング部にてBtoBtoC業務に従事。現在は保育園児、小学生、中学生、高校生4人の母。
――「生ジョッキ缶」発売前から発売開始においてどのように話題化を図っていったのか、SNS施策の全体像について教えてください。
喜多野:SNS戦略の全体像の前に、スーパードライチームについてお話しさせてください。スーパードライチームにはブランドマネージャーがいて、商品担当、販売促進担当、広告・PR戦略の担当、広報戦略を考える広報担当、そして私たちオウンドメディア・SNS担当がいます。このメンバーがワンチームとなり、生ジョッキ缶の発売が決まってから、どのように情報を発信していくべきか協議を続けてきました。どの時期に、どの情報を出すかということをひとつのタグラインとして考え、テレビCMだろうと、デジタル広告、SNSだろうとすべて一貫して揃えていこうと動きました。
発売前、はじめて生ジョッキ缶を体験した方がどんな反応をし、どのような感想を抱くのかを調査したのですが、「缶蓋がすべて開く」「缶蓋を開けたらきめ細やかな泡がぶくぶくと発生する」という生ジョッキ缶の特徴に対して「驚いた」という感想が最も多くありました。開けた瞬間のお客様が驚かれる反応の大きさに私たちも驚きました。1月の商品発表リリース以降4月の発売開始までの3ヵ月間にその「驚き」をいかに伝えて「期待感」を醸成できるかが重要だと考えました。