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イベントレポート

「お店の味レシピ」検索増加から“内食ニーズ”を紐解く!ヤフーとクラシルに学ぶ、データ分析の切り口

餃子の「タネ」と「焼き方」に関心分かれる

 ここで再びヤフーの寺田氏が登壇し、DS.ANALYSISを活用して「お店の味を再現する餃子」のレシピ検索者と「一般的な餃子」のレシピ検索者の比較を行った。具体的には、ヤフー検索の遷移先URLから「お店の味を再現する餃子のレシピ検索者」と「一般的な餃子レシピ検索者」にあたるユーザーを抽出。「餃子」を含むキーワードのみに絞って両ユーザー群によく検索されるキーワードを割り出し、両者の餃子に対する関心がどう異なるのかを分析した。

 一般的な餃子レシピ検索者は、餃子の作り方に関する検索を日常的に行っているほか、餃子の「焼き方」への関心が高いという特徴が表れていた。一方、お店の味を再現する餃子のレシピ検索者は、「浜松餃子が好き」「白菜が好き」「キャベツが好き」などを検索し、作り方よりも餃子の「タネ」への関心が高いという傾向が分かった。

「餃子」を含む検索キーワードを起点にした比較
「餃子」を含む検索キーワードを起点にした比較

 さらに寺田氏は、両者を「焼き方派」「タネ派」に分類し、それぞれの性年代構成を抽出。焼き方派は男性の割合が高く、タネ派は若い女性の割合が高いことを指摘した。

 今度は外食ニーズを把握するために、DS.INSIGHT Peopleのランキング機能を使い、「メニュー」を含むキーワードのみに絞って両ユーザー群によく検索されるキーワードを上位から抽出した。2019年まで遡ってデータを分析したところ、外食チェーン店の名前と組み合わせた検索キーワードが上位に表示された。寺田氏は「組み合わせているキーワードを糸口に分析することで、特定のユーザー層が利用している外食チェーン店の示唆といった情報も得られる」と解説した。

DS.INSIGHT Peopleのランキング機能を使って抽出した「メニュー」を含む検索キーワードの一覧イメージ
DS.INSIGHT Peopleのランキング機能を使って抽出した「メニュー」を含む検索キーワードの一覧イメージ

利用する外食店の傾向から内食需要を紐解く

 分析の結果、タネ派は女性に検索されることの多い「カフェ」や、子供連れに利用されることの多い「回転寿司店」「ピザ店」などのメニューを多く検索していたことが分かった。一方、ミドル層の男性が多かった焼き方派は、「中華料理チェーン店」や「立ち食いステーキ店」のメニューを多く検索しており、両者の傾向に違いが見られた。

「メニュー」を含む検索キーワードを起点にした比較
「メニュー」を含む検索キーワードを起点にした比較

 寺田氏はこれまでの分析結果をふまえ、お店の味を再現する餃子のレシピが注目されている理由について、「もともと外食を楽しんでいて、これまで餃子作りに関心のなかった比較的若い女性が、コロナ禍で餃子のタネをお店の味に近づけるため検索するようになったのでは」と考察した。

 セミナーのまとめとして寺田氏は、データ活用で意識すべきポイントを3つ挙げた。

 まずは、「トレンドの把握」だ。市場全体を捉えられるPOSデータを活用しつつ、単純な売れ行きだけでない、細部の傾向の違いを把握すべきだと語った。次に、「ユーザーの理解」。情報の確度や信頼性が高い自社のデータを活用し、どんなユーザーがそのトレンドを作ったのか、そのユーザーはそれまでのユーザーとどう違うのかを把握することが重要だとした。最後に、「背景の深掘り」を挙げ、そのユーザーが市場に入ってきた理由や、市場に入る前に抱いていた関心を、インタビュー/アンケートデータを通じて深掘りする必要があると述べた。

 現在、多くの飲料・食品メーカー企業では「POSデータ」「自社データ」「インタビュー/アンケートデータ」がそれぞれ別のシステムで管理されているため、1つのデータソースで調査が行えない。寺田氏は「3つのポイントを押さえ、一気通貫で分析ができれば、『インサイト(ユーザー理解)』『メッセージ(誰に何をどう伝えるか)』『メジャメント(トレンド把握と効果測定)』といったマーケティング活動を消費者のトレンドに合わせて臨機応変に調整することができる」と語った。

 飲食業界に限らず、メーカー・小売における消費者インサイトの探り方、仮説づくりや検証方法の参考として、本セミナーで紹介されたノウハウを活用してみてはいかがだろうか。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/07/19 07:00 https://markezine.jp/article/detail/36681

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