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『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

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特集:戦略実行を支える、強いチームの作り方

ローソン組織改革の現在地ビジネスの成功と成長をリードする「T型リーダー」とは

 2019年3月、ローソンはCSV事業の各部署を束ね、組織横断で事業をリードするマーケティング戦略本部を新設。全社員がお客様理解の原点に立ち戻り、選ばれるブランド作りに尽力している。この組織改革を先陣を切って進めるキーパーソンが、コカ・コーラをはじめとする数々の外資系企業でマーケティングに従事してきた大谷弘子氏だ。同氏は、「組織は生き物。つねに変化をし続ける」とし、深い顧客理解のもと、同じ目標に向かって進み続ける組織の在り方を説く。そこには、マーケティングの高い専門性を持って、関連部署を横断して業務を遂行するT型リーダーの存在が欠かせないという。大谷氏に、戦略の実行を可能にする強いチームの構成要素とローソンでの取り組みを聞いた。

※本記事は、2021年7月25日刊行の定期誌『MarkeZine』67号に掲載したものです。

強いチームに共通している構成要素

株式会社ローソン 執行役員 マーケティング戦略本部副本部長 兼 
商品本部副本部長 大谷弘子(おおたに・ひろこ)氏

 慶應義塾大学卒業後、1987年に日本電信電話に入社。日本コカ・コーラ、キャドバリー(現・モンデリーズ)、日本ケロッグなど、20年にわたり外資系企業で戦略企画、製品開発を含むマーケティング、組織開発に従事する。2019年、ローソンに入社し現職。マーケティング力の向上、社内協業体制の強化、組織・人材育成に取り組む。専門は、日用消費財のマーケティング。

――大谷さんは、NTTドコモでマーケターとしてのキャリアをスタートされてから、複数の外資系企業で20年近くマーケティングに携わっていらっしゃいます。これまでのご経験を踏まえ、強いチームにはどのような要素が備わっているとお考えでしょうか?

強い企業・マーケティングチームの構成要素

  • 1.徹底したお客様視点
  • 2.ダイバーシティ
  • 3.明確な役割のもと協力しあえる体制
  • 4.スピード感のある意思決定
  • 5.客観的で納得感のある評価

 まずは、何よりも徹底したお客様視点があります。大量生産・大量消費の時代が終わり、企業には改めて襟を正し、お客様の課題や顕在化していないニーズを理解することが求められています。継続してお客様を観察し変化の兆しに気づく敏感さと、ファクトに基づいて意思決定を行い、お客様へ解決策を提示して期待に応えていく姿勢が大切です。

 これを大前提として、強いチームを構成する要素はさらに4つあります。1つ目は、ダイバーシティ。やはり、多様な価値観や視点を持った人がいる組織は強いですね。理由は単純で、お客様が多様だからです。同じ経験を持った人や過去の成功体験に囚われる人ばかりが集まると、その延長線上にあるアイデアや仮説しか生まれなくなります。画一的な考えでは、多様なお客様の理解は叶いません。もはやダイバーシティは、企業が存続していくための死活問題とも言えます。

 2つ目は、ステークホルダーや関係者間の役割が明確になっており、同じ目標に向かって協力しあえる体制があることです。社内業務に関して言うと、外資系企業では雇用契約時に明確な責任範囲を記したジョブ・ディスクリプションの提示があり、各々の役割が明確になっています。あとは、社長・経営層・マネジメント層が率先して自らの行動を示せば、みんなが自分の役割を果たし、同じ目標へ進んでいけます。

――ジョブ・ディスクリプションを導入している日系企業は、まだ珍しいです。業務を可視化する意味でもメリットがありますね。

 はい。ビジネスの変化が著しい今では、想定していなかった業務も発生しやすいものです。「誰がやるの?」とグレーゾーンにせず、責任の所在をはっきりさせる臨機応変さも必要です。

 そして3つ目は、スピード感のある意思決定です。意思決定のための材料が7割がた集まったら、決断をし、動きながら軌道修正をしていきます。そうでなければ、他社の後追いで二番煎じとなり、時代を切り開くことはできないでしょう。やりっぱなしではなく、振り返って反省し、もっといいものを出していこうとする姿勢も大切です。

 最後の4つ目は、客観的で納得感のある人事・評価制度です。特に、上司の感覚や価値観による評価ではなく、数値指標によるフェアな評価は必須です。また、上司だけでなく同僚や部下など様々な人から評価をもらう360度フィードバックのような仕組みは、本人の成長にもつながります。

 評価をする際は、欠点だけでなく優れている部分もフィードバックします。「あなたのこのスキルはとても素晴らしいよ」と言われるようなことは、みなさん普段あまりないと思います。だからこそ、励みになる。弱みについても、成長するOpportunity(機会)と捉えられるような形でフィードバックします。客観的な評価と多角的な評価は、人材育成の材料になります。

――「強みもフィードバックする」というのは、おっしゃる通りモチベーションにつながると思います。一方で、こうした取り組みはマニュアル化できない部分もあり、なかなか浸透させるのは難しいのではないかと感じるのですが、いかがでしょうか?

 全社一斉にではなく、関心を持った人から始めるだけでも十分です。その良さを理解する人が増えていくと、徐々に組織全体に広がっていきます。最近では実施する企業も増えていますが、まずは上司と部下で1on1ミーティングを始めてみてはいかがでしょうか。ささいなことのように感じられるかもしれませんが、ちょっとしたことでも具体的に褒め合う環境があるチームは強いですね。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/01 16:52 https://markezine.jp/article/detail/36749

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