個人向け作業服の専門店として知られていたワークマンが近年、客層を拡大させている。一般客向けにアウトドアウェアを販売する新店舗「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」の出店を皮切りに、アンバサダーを巻き込んだ製品開発など、様々な施策を展開。新業態への挑戦には様々な困難も生じるが、同社はどのようにして描いた戦略をやり遂げたのだろうか。その裏にあった組織運営についてうかがった。
※本記事は、2021年7月25日刊行の定期誌『MarkeZine』67号に掲載したものです。
目標を絞り込み、時間がかかってもやり遂げる

株式会社ワークマン 専務取締役 土屋哲雄(つちや・てつお)氏
東京大学経済学部卒。三井物産入社後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役を経てワークマンに入社。プロ顧客向けの作業服専門店に「データ経営」を持ち込んで社内を改革。一般客向けに企画したアウトドアウェア新業態店「WORKMAN Plus」が大ヒットし、「マーケター・オブ・ザ・イヤー2019」大賞を受賞。2019年6月、専務取締役経営企画部・開発本部・情報システム部・ロジスティクス部担当(現任)に就任。2020年10月には『ワークマン式「しない経営」~4000億円の空白市場を切り拓いた秘密~』(ダイヤモンド社)を上梓。
――土屋さんは30年以上の商社での勤務を経て、2012年にワークマンへ入社されました。そこから2018年に一般客向けの新業態店「WORKMAN Plus」を出店し、客層拡大、業績向上を達成されています。御社にとってとても大きな方向転換だったのではないかと思いますが、やり切るために大切なことは何だったと考えていますか。
なによりもまず、目的と手段を混同しないことだと思います。中期経営計画に「イノベーションを起こすぞ」と掲げている企業をよく目にしますが、イノベーションは本来手段であるはずです。ワークマンがなぜ新しいことをやる必要があったのかというと、当時戦っていた「個人向けの作業服」という市場の規模が2,000億円程度で、ワークマンがすでにその半分を占めてしまっていたから。新業態はあくまで手段でした。
また、どんな戦略も社員の賛同がなければ進められません。社員にストレスやプレッシャーをかけないようにするため、「時間を捨てて目標をとる」というやり方をしてきました。たとえば、短期のノルマや期限は設定しない。達成するまで担当者は変えない。経営者には、目標を絞り込むことが求められます。本気で達成したい目標を一つだけ掲げ、次々と新しい方針を打ち出したくなるのを我慢する。私は「客層拡大」を掲げ、そのために「しない経営」と「エクセル経営」を浸透させる、それ以外はやらないと決めていました。
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蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)
東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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