業務は分担しても、組織は分断しない
――どのようなプロセスで、インサイドセールス部を軌道に乗せたのでしょうか。
まず立ち上げ期は、インサイドセールスにまつわる外部セミナーに片っ端から参加し、実例を学び、他社の担当の方たちと積極的に情報交換を行い、会社で施策を実行するということを繰り返していました。セミナーでは、悩みや課題の共有だけでなく、自分のスキルの確認もできて自信が持てましたし、友達も増え、孤独で苦労の多い立ち上げ期を乗り越えるモチベーションになりました。
インサイドセールスを上手に展開するためには、他チームとの連携が重要です。特にフィールドセールスでのSFA活用の定着には時間をかけました。やはりSFAの導入時は、なかなか社内に使ってもらえません。商談結果の入れ忘れや、インサイドセールスが入力したお客様とのやりとり履歴を見てもらえないなど、壁がいくつもありました。この状況に対し、「なぜSFAを使うのか?」の基本的なところから資料を作成し、プレゼンをしながら社内の理解を広げていきました。次第に、インサイドセールスが機能し始め、商談が増えてくると、風向きも変わりました。
たとえば、「過去の失注をナーチャリングし直したら再度アポイントにつながった」など、データ活用のメリットを体感する出来事があると、より自分ごとに捉えられるんです。案件が増えてくると、コミュニケーションが煩雑となり、お客様に2つの部署から違う情報が届く、同じことを聞くなど、ご迷惑をかけてしまいかねません。それを防ぐために、SFAの活用は不可欠ですし、何よりも「自社都合ではなく、お客様に必要な情報を適切なタイミングでお届けし、ご提案することが大切だ」と、セールスチーム同士の認識を揃えることがポイントでした。
――マーケティング部との連携は、いかがでしたか。
マーケティング本部の中にインサイドセールスがあるのと、部の立ち上げが同時期でしたので、スムーズに協力できました。さらに、KPIや追っている目標がマーケティング部と共通なんです。ご契約数が伸び悩んでいる時は、「ホットリードが少ないからだ」「アポイントが取れてないじゃないか」と責任を追及しあい、コミュニケーションがネガティブになるケースがありますが、ホットリンクは一緒に解決していくスタイルです。やはり、アポイントが数日取れない時は落ち込みますから、ともに課題解決に取り組める体制は、気持ち的に助かります。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスと、分業しても分断はしない。みんなで共通の数字を追う体制を作ることは、重要だと思います。