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BtoBマーケティングの開拓者たち

PRを強化して成長を創る

広告は風邪薬、PRは漢方薬

 SaaS事業に携わる皆さんにPRという武器を活用していただきたいと思っていますが、具体的な方法論へと進む前に押さえておきたいのが、PRが持つ特性です。よく使われる比喩表現に「広告は風邪薬、広報は漢方薬」というものがありますが、両者がどのように異なるのか確認していきましょう。

図表1 PRと広告(タップで画像拡大)
図表1 PRと広告(タップで画像拡大)

(1)成果が出るまでの時間軸が異なる

 つい最近、SaaS企業にいるベテランのPR担当者から印象的な話を聞きました。某有名テレビ番組で自社が紹介されたその成果に対して「PR担当は幸運を呼び込むために、日々見えないところで努力している。」とおっしゃっていたのです。PR=パブリック・リレーションズという名前のとおり、まさに日々の関係性作りが重要。漢方薬のように毎日こつこつ続けることで、幸運が舞い込みやすくなります。

 企業や事業部のPR担当とメディアの関係性はGive&Takeの継続ですし、信頼残高の積み重ねとも言えます。まだ知名度が低く、PRを始めたばかりの企業においては、むしろGive&Giveの期間がしばらく続き、なかなか日の目を見ることがないかもしれません。私たちも、「一般的には取り組み始めてから半年以降に成果が見え始める」とお話ししています。広告やセミナーといったアウトプットが目に見えやすい手段に比べると、時間がかかる傾向にありますので、“じっくりコトコト”取り組むスタンスが求められます。

(2)メッセージの作り方が異なる

 企業とメディアの関係は、タイアップ記事広告出稿やイベント協賛などを除けば、基本的に金銭授受の発生がなく、「情報価値やネットワーク」と「取材や掲載機会」の交換というWin-Winな関係になります。そのためメディアと関係を構築する上では、企業や事業の情報に、いかにニュース価値を付加できるかがポイントになります。

 ニュース価値を高めるためには、ブランドイン(企業が発信したいこと)とメディアアウト(メディアが扱いたいこと)の両面から、PRメッセージやコンテンツを考える必要があります。当社ではそれらを考える際のフレームワークとして、「ニュース7つの要素」を定義しています(図表2)

図表2 ニュース7つの要素(タップで画像拡大)
図表2 ニュース7つの要素(タップで画像拡大)

 詳しい説明は次回行います。

(3)露出内容のコントロール性が異なる

 広告であれば、クリエイティブで使用するコピー、セミナーであればプレゼンテーション資料の内容は、100%コントロールができると思います。強調したいところがあれば際立たせることもできるでしょうし、NG表現を避けることも可能です。一方、PRは100%コントロールすることができません。2つ目の項目でもお伝えしたとおり、あくまでメディアアウトの視点からお話しする必要があり、ときにはデメリットについて語る必要もあるでしょう。編集権はメディア側にありますので、切り取られ方によっては意にそぐわないことも起き得ます。それらをできる限り防ぐ上でも、メディアとの関係性構築や相互理解をしておく必要があります。

 ここまで、BtoBマーケター、特にSaaS企業のマーケターが押さえておきたいPRの基本をお話ししてきました。今回の内容を踏まえて、次回は具体的なPR戦略・戦術について触れていきたいと思います。

COLUMN Netflixにみるプロダクト・プレイスメント

 コロナ禍になってから、Netflixのコンテンツを観る時間が大幅に増えました。コンテンツ制作への考え方や投資計画、組織、出演タレントによるトーク動画などが多面的に発信されていて、期待を高めてくれます。私は中でも韓国ドラマを多く観ていますが、プロダクト・プレイスメント(以下、PP)がとても発達していると感じます。車や化粧品、家電、飲料などが、存在感の高い演出で映り込んでいます。PPのマッチングを専門にする会社もあるようですね。日本の民放ドラマでは広告主が存在するため、このような取り組みは少ないのですが、今後日本でも動画配信サービス発のオリジナルドラマが増えていくにあたり、PPのビジネス機会も増えるのではと注目しています。

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この記事の著者

田中 幸司(タナカ コウジ)

ビルコムへ入社後、BtoB企業へのPRコンサルティング、戦略策定、コンテンツ企画に携わる。その後、BtoB SaaS「PR Analyzer」事業の法人営業、マーケティング、オペレーション統括を経て、現在は代理店事業のマーケティング、インサイドセールスを担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/08/27 08:30 https://markezine.jp/article/detail/37048

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