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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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【ウテナ中島恵司氏×辻愛沙子氏対談】コロナ禍の事業成長に必要な企業コミュニケーションの形

ロングセラーでもユーザーの持ち上がりが起きない理由

辻:これだけの成長につながっているのは、マトメージュの商品力・ブランドの強さもあると思うのですが、中島さんはマトメージュのどういった点が特徴的だと思いますか。

中島:マトメージュのおもしろいところは、ロングセラーブランドにもかかわらずユーザーの持ち上がりが起きていない点です。通常ブランドは長く続けば続くほど、利用者の年齢層が上がっていくのですが、マトメージュは96年に発売して以降20年以上の歴史がありますがいまだに10代や20代からの圧倒的人気を誇っています。これも、そのときどきのマインドや行動、トレンドを加味した提案をし続けたからだと思っています。

 今回であれば「マスク姿でもおしゃれは諦めない」「マスクで顔が隠れる分、ヘアスタイルで盛りたい」といったマインドを捉えたコミュニケーションができたと考えています。

中島:さらに、これまではプロモーションムービーを制作して様々な媒体で流して一方的にリーチすることに主軸を置いていました。しかし辻さんたちと、お客様がどう楽しんでくれるか、どう動いてくれるかを考えて企画を設計できたことで非常に良い成果が得られました。

 新型コロナウイルスの影響でメイクやヘアスタイリングをする「機会」は減りました。しかし、おしゃれを楽しみたい、気分を上げたい、といった「想い」は一種の本能として常に心の中にあるものだと思うんです。その「想い」を新型コロナウイルスの影響で発散できずにいた人も多かったはず。

 今回のキャンペーンではその人たちのマインドを捉えて、「マスク盛れ」を提案することができました。

マトメージュが女性の抑圧を解放する存在に

辻:どうしてもヘアケアの商材ってモテやマナーなど、自分主体の”どうありたいか”ではなく他者目線での”どうあらなきゃ”に縛られがちな世界だと思うんです。10代は学校の校則、20代は就活で髪型を制限され、それ以降も「もう大人なんだから」とだれが作り出したのかも分からない”規範”みたいなものに抑圧されたりするシーンが多い。

 本来は髪の毛は自分を表現できる場所の一つであって、中島さんがおっしゃっていたように、自分自身をハッピーにする、気分を上げるためのものだと思っています。

 しかし、髪型に対する抑圧が社会にまだ残っていると日々悶々としていました。その中で今回マトメージュとの取り組みのお話をいただいて、ただ「髪型がおしゃれになります」「モテるまとめ髪」というような機能訴求や他者目線でのメッセージではなく、マトメージュを使うことで本人自身が生きやすくなったり自信を持てたりと、髪をまとめることを超えたパワーを生活者に届けられる取り組みを中長期でできたらいいなと思っています。

中島:まさにそういったことがこれからのブランド設計に求められることだと考えています。マトメージュの「アホ毛を直す」「髪型でまとまらない部分をキープする」といった機能的な側面だけでなく、そういった機能を通じて「どんな自分になれるか」「どういう気持ちになれるか」を伝えていくべきだと思っています。そして、もっと自由に自己表現ができる世の中にしていきたいというメッセージをブランドとして届けていきたいです。

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今必要なのは「これ私の話じゃん」という共感

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/09/09 09:00 https://markezine.jp/article/detail/37068

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