ソーシャルリスニングでできること
ソーシャルリスニングを通じて、どんなことが可能になるのだろうか。主な使い方は以下の3つである。
1つ目は、消費者の理解を深めることだ。FASTALERT for Marketingでは、消費者の興味関心に寄り添い、モノ・サービスそのものをリスニングするのではなく、より領域を拡張して観察する支援をしている。
2つ目は、消費者の感情の発露を手掛かりに、口に出ないインサイトを探り出すことだ。ソーシャルリスニングのデータを使いながら顧客企業と共にディスカッションし、その示唆を出す支援も行っているという。
3つ目は、感情のフレームワークを用いて、さらに消費者の解像度を高めることだ。たとえば8つの基本感情とその組み合わせで感情を分析する「プルチックの感情の輪」や、Atlas of Emotionsの「5つの基本感情」などを利用して、ツイートに隠れた感情を探る。
実際のツイートを用いて、手順を紹介
松本氏は「冷蔵庫がビール保管庫になっていてなんか興奮する」というツイートを取り上げ、そこに隠された感情を探る手順を紹介した。
このツイートを分析すると、事実は「冷蔵庫がビール保管庫になっている」で、言語化されている感情は「興奮」となる。感情のフレームワークを用いると、興奮は「喜び(Joy)」のグループに属する。しかしここで注目したいのは、「“なんか”興奮する」という言い方であり、投稿者は感情を揺さぶられつつもそれを明確に言語化できていない様子がうかがえる。では、そこにはどんな感情が隠れているのだろうか。
松本氏が社内で議論した結果、仮説として「逸脱」「罪悪感」が挙がったという。感情のフレームワークを用いると、「喜び(Joy)」と「恐れ(Fear)」の組み合わせが逸脱しているというグループに属する。「社会人らしい生活感から逸脱している、その状況に対して恐れもあるし、面白さも感じている。おそらくは喜びの部分が強くなって『興奮』という表現が出てきたのでしょう」と解説した。
このようにして隠れた感情への理解が深めることができたら、そこから先はAsking型の調査を活用していく。具体的には、得られたインサイトをベースにした商品開発に共感してもらえるか、買うのであれば何円以上なら高いと感じるのか、といった調査を進めることになる。
ソーシャルリスニングを用いたマーケティング活動の研究は、国内外において10年以上も続いているという。松本氏は、「ソーシャルリスニングはマーケティング活動において重要なアプローチです。うまく活用することで本音を引き出すことができます」と要点をまとめ、講演を締め括った。
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