1,000万ダウンロードを誇るポイ活アプリ
「Super Point Screen」は、2015年にローンチした楽天公式の“ポイ活アプリ”だ。2021年4月に1,000万ダウンロードを突破し、270万MAUを誇る。さらにDAUも平均して180万を達成した。
このアプリではゲームや広告の視聴といった体験を通して、楽天ポイントを獲得できる。企画やキャンペーンも多数展開されており、ユーザーを飽きさせない。貯めた楽天ポイントは「楽天市場」や「楽天トラベル」といったオンラインはもちろん、実店舗の買い物にも使用できる。楽天はユーザーと広告主を結びつけて広告を配信することで、広告収入を得ている。
本講演では、同事業を立ち上げからけん引してきた小林 大亮氏が、1,000万ダウンロードまでの道のりを立ち上げフェーズ、マーケットフィットフェーズ、スケールフェーズに沿って紹介した。
とにかくバケツの穴をふさいだ、立ち上げフェーズ
事業立ち上げのフェーズではまず、ユーザー数を増やすことが必要になる。当初はサービスとしての価値提供が曖昧で、ポイントを配ることでユーザーの獲得・つなぎ止めを図ろうとしていた。だがポイントを多く付与するほどコストがかさみ、ユーザーの継続的な獲得に苦労していた。
この状態を脱するために事業部内で取り組んだのが、次の4つだった。
1. ミッションの設定と浸透
2. ユーザーサーベイに基づく不具合改修
3. マネタイズドライバーの実装
4. 収益構造の見直し
なかでも一番大事だったのは、ミッションの設定および浸透だったという。サービスの方向性に関してメンバー間の目線がそろっていなかったことを踏まえ、全員でバリュープロポジションワークショップを実施。ミッションを次のように言語化した。
楽天ポイントを介してユーザーとクライアントの結びつきを量産しHappyな体験を創出するメディアプラットフォームになる
「これが正解かどうかより、方向性を指ししめすことが重要でした」と小林氏は振り返る。
その後はユーザーの声を踏まえながら、不具合改修を実施。約3ヵ月をかけて38ヵ所もの改善を行った。さらに収益構造を改善するため、様々なマネタイズドライバーを実装。ポイントの大量付与もいったん終了することにした。ここでユーザー離れが懸念されたが、ユーザー離れはほとんど起きなかった。これは後の気づきにつながる。
ここまで見てきたように、立ち上げのフェーズでは、一つひとつの課題を見つめて粘り強く改善していくことが求められる。ここでバケツの穴をふさいでおくと、マーケットフィットのフェーズでマーケティングやプロモーションに投資した時、その効果を最大化できるのだ。