オンラインシフトのトレンドから見る3つの変化
従来は対面で行われていた仕事がオンラインシフトし、それにともなったコミュニケーションツールの利用など様々な場面でDXが加速したという企業は少なくない。
これは企業のマーケティング活動においても同様であり、DXが推進されたことよってCX(顧客体験)はオフラインが主流だった時代と比べて変化が起きている。早坂氏は、このCXの変化を「タッチポイント」「コミュニケーション」「テクノロジー」の3つの観点から考察する。
まず1つ目は「タッチポイント」の変化。代表例として挙げたのは、イベントのオンラインシフトだ。Peatixの調査データを基に具体的な変化を語った。
「主催者側がウェビナーツール等を活用し、オンラインシフトしたことで運営工数の削減や時間の有効活用といったメリットを享受できるようになった一方、参加者側の半数が参加できなかったことがあるというデータもあります」
調査結果からは「開催日時を忘れていた(35%)」「リモートワーク中に家族のケアが必要になり参加ができなかった(23%)」といったことが障壁となっているとわかる。
コロナ禍でオンラインイベントのメリットとデメリットそれぞれが浮き彫りになった結果、コロナ後のイベント開催に関して、71%が「オンライン・オフラインそれぞれ開催したい」という意向があることから、状況に応じてオフラインでも開催するハイブリッドへと変化すると早坂氏は語った。
顧客とのコミュニケーションの「非属人化・自動化」が進む
2つ目の変化として挙げた「コミュニケーション」は、BtoBマーケティングにおける顧客コミュニケーションに着目して解説した。
リモートワークとオンライン会議が浸透し、スケジュールを効率的に組めるようになった。「一方で、企業は顧客との商談にかけられる時間も短くなっている」と早坂氏。そこで重要になるのは、短い時間でニーズや課題を引き出し、短時間の商談でも製品を訴求することだ。
そこで「Webサイトでわかりやすく気づきを与える」「eBookを充実させる」「セミナー動画のアーカイブを掲載する」といった非対面の環境でコミュニケーションのストーリーを構築することが重要だと述べた。
また、コミュニケーションの顕著な変化の例としてチャットボットツールのシェアの増加を挙げている。Statistaの調査データによれば、チャットボットツールの市場規模は2021年時点で83億ドルとなっており、2027年には454億ドルになると予測されている。
この背景には、コミュニケーションを行う人的リソースの削減という観点もあるが、顧客の観点からもメリットが大きいことからニーズが高まっていると述べる。
「チャットボットツールは顧客向けのヘルプデスクやFAQ対応、見積もり作成などに活用され、問い合わせチャネルの新たな手段として活用が進められています。また、従業員向けとして社内のITサポートや情報問い合わせのチャットボット活用といった例も増えています」
このように、コミュニケーションにおける属人化の解消やプロセスそのものの自動化が進むと早坂氏は考察している。