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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2021 Autumn

思想あるブランドが消費者に選ばれる 電通若者研究部とヘンケルジャパンが紐解くインサイトの捉え方


Z世代の心は思想・環境視点・透明性で捉えるべし

 では、Z世代の心を射止めるために企業はどのようなコミュニケーション戦略を取れば良いのか。用丸氏は次の3つのポイントを提示する。

 これらのポイントを理解するための事例として、アメリカのシューズブランド「ALL BIRDS」の取り組みを紹介した。同ブランドは「地球環境に良い靴を作る」という思想のもと、自社が排出する二酸化炭素の排出量を可視化し、自らに「炭素税」まで課している。思想、地球/環境視点、透明性の全てを備えた姿勢は、多くのZ世代から「かっこいい」と支持を集めているそうだ。

 自社の思想を落とし込んだブランドメッセージで顧客の心を捉えた事例は他にもある。本セッションにパネリストとして参加するヘンケルジャパンだ。用丸氏からバトンタッチした同社の猿田氏は、セルフブリーチ剤「ボンディング・ブリーチ」のプロモーション戦略について語った。

ヘンケルジャパン マーケティング部 ブランドコミュニケーション デジタルコミュニケーションスペシャリスト 猿田有香氏
ヘンケルジャパン
マーケティング部 ブランドコミュニケーション デジタルコミュニケーションスペシャリスト
猿田有香氏

 そもそも同社がホームユース品としてセルフブリーチ剤を発売した背景には「ブリーチオンカラー(髪の毛にブリーチを複数回施してからカラーを載せるスタイル)」の広まりがあった。2017年に“傷みにくいブリーチ剤”をサロン向けに販売したところ「美容師からブリーチオンカラーのトレンドが作られていった」という。このトレンドを自宅でも楽しめる商品としてボンディング・ブリーチは誕生した。

「脱・金髪用」「脱・若者向け」で既存市場に風穴を開ける

 猿田氏はプロモーション戦略を立てるにあたり“セルフブリーチ”という言葉が持つイメージの固定化に着目。「高校生の夏休み」「大学の学園祭」などの限定的な使用者およびイベントを想起する人が多く、仕上がりのスタイルも「金髪」に偏っていたそうだ。

「これらの固定化した使用者/使用シーン/スタイルを変えなければ、セルフブリーチ剤の新たな需要は生み出せないと思いました」(猿田氏)

 新たな需要を生み出し、選ばれるブランドになるために何をすべきか。猿田氏はまず、Instagramのハッシュタグ投稿を手掛かりに、消費者の「潜在ニーズ」を探っていった

 Instagramで「#ブリーチオンカラー」を検索すると、表示される投稿のほとんどが美容室でのスタイリングであった。一方「#セルフブリーチ」の投稿を見ると、固定化したイメージ通り「金髪」や「学生」を思わせるものが多い。両ハッシュタグのギャップから、猿田氏は次のような見解に達した。

「単純に『セルフブリーチ剤ですよ』と売り出しても、受け入れてくれる人は増えません。トレンドに寄せた発信をすれば、ブリーチオンカラーのハッシュタグを付けて投稿している層のニーズを掘り起こすことができますし、既にセルフブリーチ剤を使用している層の新たなニーズも引き出せると考えました」(猿田氏)

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自己表現を叶えるコスメの1種として商品を展開

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/10/24 17:46 https://markezine.jp/article/detail/37485

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