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特集:データ活用の新常識

データビジネスは透明性ある説明、プライバシーへの配慮とともに

ダッシュボードで同意状況の確認・変更がいつでも可能に

 続いて2019年12月に用意したのが「パーソナルデータダッシュボード」だ(図表4)

図表4 「パーソナルデータダッシュボード」のトップページ(抜粋)(タップで画像拡大)
図表4 「パーソナルデータダッシュボード」のトップページ(抜粋)(タップで画像拡大)

 このダッシュボードにアクセスすると、顧客はサービス契約時に同意した内容をいつでも確認することができる。また、オプトイン/オプトアウト可能な情報項目については、その選択肢が提示されている。従来の「規約ベースの一方的コミュニケーション」から「わかりやすいUI/UXを駆使した双方向コミュニケーション」への転換を目指し開発されたという。

 開発にあたってはシステム部門とデジタルマーケティング推進部(現マーケティングプラットフォーム推進部)が一体となって開発し、継続的に表現や設計を改良していった。たとえば自身のデータ提供先と種類を確認・変更できるページでは、基本情報や位置情報といった個別の項目の変更に加えて、「バリュー」「スタンダード」「ライト」といった一括設定のための選択肢も用意している(図表5)

図表5 提供データの確認・変更のページ。個別の設定に加えて一括での設定も可能
図表5 提供データの確認・変更のページ。個別の設定に加えて一括での設定も可能

 また、それぞれの設定を適用した場合の利用イメージは、後述する「知ってナットク!ドコモのパーソナルデータ活用」において説明している。

 顧客がいつでもデータの提供範囲を確認・変更できる仕組みはパーソナルデータ憲章の理念に適合したものだが、個別の事業においては、登録ユーザー数や収集できるデータが減少するなど、マイナスの影響が生まれる可能性もある。NTTドコモでもそうした指摘はあったものの、次のような考えで実装を進めたという。

「確かに各事業において影響が生じる可能性もありますが、『会員を軸としたサービスを伸ばしていく』という全社的な目標を踏まえて判断しました。お客さまとドコモの間に信頼関係があり、データを提供することによるメリットを感じていただけていれば、大規模なオプトアウトは起こらないと考えます。一方、プライバシーの侵害やその懸念が一度でも生じてしまうと、信頼回復は容易ではなく、ドコモのビジネス全体に大きく影響します」(鈴木氏)

 現在はパーソナルデータダッシュボードの利用状況をモニタリングし機能改善を図っているほか、顧客側に選択肢があることを広く周知するために、マンガなどを用いた解説コンテンツ「知ってナットク!ドコモのパーソナルデータ活用」を公開している(図表6)

図表6 「知ってナットク!ドコモのパーソナルデータ活用」(一部抜粋)
図表6 「知ってナットク!ドコモのパーソナルデータ活用」(一部抜粋)

データガバナンスはあらゆるビジネスの基盤になる

 最後に一連の取り組みを踏まえた感想と今後の展望について、鈴木氏、井手口氏にうかがった。

「データガバナンスはビジネスの基盤となるもので、それが整備できてはじめてデータの利活用が可能になると捉えています。データを活かしてお客さま、パートナー企業様にとって有効なサービスを提供していくことが我々の重要なミッションですので、今後も法改正や社会情勢の変化に迅速に対応していきます」(鈴木氏)

「どの取り組みもこれが完成形ではなく、現在も情報収集や他社との意見交換を通じて改善点を洗い出しています。行動規則の提示もサービスへの実装も、ともにチャレンジングな試みですが、プライバシー・バイ・デザイン(※1)の考えに基づき、世の中の声を取り入れながらより良い在り方を探っていきたいです」(井手口氏)

図表7 今後の推進方針(タップで画像拡大)
図表7 今後の推進方針(タップで画像拡大)

※1 ビジネスや組織の中でプライバシー問題が発生する都度、対処療法的に対応を考えるのではなく、あらかじめプライバシーを保護する仕組みをビジネスモデルや技術、組織の構築の最初の段階で組み込むべきであるという考え方。プライバシー保護におけるグローバルスタンダードとなっている。

出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「DX時代における企業のプライバシーガバナンスガイドブックのご紹介

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この記事の著者

蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)

東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/01 16:24 https://markezine.jp/article/detail/37550

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