ナラティブを広げるロッテ/“技術の日産”を確立するまで
ナラティブのアプローチを起点とする「ロッテ キシリトールガム」
「チューイングガム」というサブカテゴリーを生んだロッテは、「むし歯のない社会へ。」というブランド理念の名のもとに社会課題に焦点を当てる。歯の健康維持に役立つことが科学的に証明されている白樺や樫の木などから作られる成分キシリトールを活用した商品開発とコミュニケーションを展開している。社会にキシリトールを浸透させるソーシャルマーケティング施策として「その歯と100年。キシリトールプロジェクト」を立ち上げた。歯磨きやフッ素に加えて、キシリトールが歯の健康に日常的に役立てられているフィンランドに学び、現地取材に基づく説得力の高い広告や、世界的に人気の高いBTSを起用した広告を投下し、ナラティブ、アーカー氏が言うところのシグニチャーストーリー作りに取り組む。世界中に笑顔を広げているBTSとともに「Smile to Smile Project」を始めることで、ひとつの笑顔が、だれかの笑顔につながって、世界の希望につながることを目指している。
並行して、「スマートシティ会津若松」をはじめとする6自治体とのパートナーシップの元、保育園、幼稚園等へのキシリトール入りタブレット提供を開始している。
技術力あるブランドとしての“顔”を確立した日産
2010年から「電気自動車」のサブカテゴリーで先鞭をつけたリーフで世界初の量産に踏み切った日産は、革新と継続によるブランド確立を行っている。かつては車種ごとのマーケティング「House of Brands」施策を取っていたが、その結果ブランドの顔が見えない状態に陥っていた。そこで、全社を技術の日産としてまとめる「Branded House」のコミュニケーションプラットフォームに移行、世界中でアプローチを統一。この秋、発売開始したプレミアムコンパクトカー、ノート オーラにも適用している。
日産は2015年から「やっちゃえNISSAN」というキャッチコピーでブランド キャンペーンを開始した。TVCMのキャスティングが矢沢永吉氏から木村拓哉氏へバトンタッチしたのも今では懐かしい。この足掛け6年「技術の日産が、人生を面白くする。」というメッセージを発信している、と日産自動車 執行役副社長 星野朝子氏は述べる。

Nissan Brand Wayという教育パッケージを展開し、マーケターのみならずエンジニア、購買、製造など様々な職種で日産自動車とは何かの“顔を作る”人材育成を行っている。その結果、「電気自動車」「自動運転」といった技術力あるブランドとして国内認知度トップを占めるようになった。


以上、eWMSの様子を駆け足でお伝えした。全体を通して、各社各様の切り口で持続性や継続性を捉えイノベーションを起こし、熱量を伝えるコミュニケーション施策、次世代への語りかけによって市場で生き残る策が印象深かった。どのサブカテゴリーが世界を覚醒させるのか、今後が楽しみだ。