すべてのターゲットでブランドリフトが大幅にアップ
MZ:キャンペーンの成果について教えて下さい。
清水:3つのターゲットのいずれにおいても、ブランド認知・好意度・利用意向が大幅に上がり、大きな成果が得られました。施策前よりビーグレンの認知度が高い「肌悩み顕在層」は、ビーグレンの新たな側面を知り、好意・興味・利用意向が上昇。そのほかのターゲットも全ての指標で上昇が見られ、新たなターゲットを導くことができました。
さらに注目したのは、自然検索のリフト値が約1.8倍に上昇したことです。広告に接触してビーグレンを認知し、興味を持って検索したユーザーが多数いたのでしょう。こうした態度変容は獲得系の広告では起きにくかったところです。しっかりビーグレンに興味を持ってくれたというのは、一つ収穫だったと思っています。
MZ:今回のキャンペーンでは、購買・獲得への効果をどのように考えていましたか?
清水:目標としてトライアル・本購入の引き上げはもちろん目指していましたが、今回の施策は商品の購入を直接的に促すダイレクトマーケティングではなく、ビーグレンが考えるターゲットに理解を促し、共感してくれた人を購入に導くブランディングの一環です。
ユーザーが商品を購入する上で必ず通過する比較検討のタイミングで、ビーグレンを想起させ選ばれる確率を上げることこそが重要で、そのためには好意形成と知覚品質の向上をしていく必要があります。ですので、フェーズを区切って、フェーズごとに目的と施策を展開する形を取りました。
「目の前の利益」だけでなく「先のブランド価値」を見据えて
MZ:コンテクスチュアル広告は、Cookie代替の手段として注目されているところもあります。そんな中で、ダイレクトマーケティングに力を入れてきたビーグレンの今回のキャンペーンは示唆に富む事例であると思います。
松本:実のところ、Cookie規制を受けて、特に今年の後半は多くの企業様からGumGumにお問い合わせをいただいています。コンテンツの文脈をターゲティングすることで、ユーザーの関心を捉えるコンテクスチュアル広告が、Cookieに頼らない有効な手段のひとつであることは間違いありません。
しかし、これまでやってきた既存のメディアストラテジーをコンテクスチュアル広告に置き換えることはできません。Cookie規制の代替手法という観点ではなく、ユーザーと良質な接点を創出して、その結果ブランディングや購入意向の上昇に繋がる。そんな環境を構築できることがコンテクスチュアル広告を取り入れるメリットであると考えています。
賀川:そうですね。直近ですぐに利益を作れる広告も必要ですが、それに加えてブランディング施策をやっているブランドとそうでないブランドとでは、長い目で見た時に売り上げに大きな違いが出てくると思います。この2年、コロナ禍の状況もあり、企業としてどこに投資をするべきか考えることが多くありました。「こんな時だからこそ」と、ブランディングに力を入れられたことはとても良かったと思っています。
清水:やはり中長期的に見ることが大事ですよね。コンテクスチュアル広告がダイレクト広告の代替施策になるかというと、そうではないと考えています。Cookieを介したシステマチックな広告は、ユーザーとのコミュニケーションをある程度省略しても短期的に成果を出せるメリットがあると思います。一方、私たちの施策は認知・好意形成のためのコミュニケーションから展開しているので、ある程度の時間を要します。
しかし、本来コミュニケーションというのは、複雑で時間がかかるものではないでしょうか。Cookie規制によるダイレクト広告の代替が何かと問われれば、その答えは、コミュニケーション全体を見渡して立体的に考え実行することが全てではないかと思います。
また、ブランディング施策においても効果を数値化する必要はあります。ですので、今後も数値としてわかる形でPDCAを回していき、できるだけスマートに目標を目指していきます。
賀川:今回のキャンペーンのような施策を続けていくことで、ビーグレンのブランドを一回りも二回りも大きくすることができると考えています。投資を始めたからには、ブランドの財産になっているという感触をしっかり味わうまで継続し、ブランドの価値を伝えていきたいです。