“肌内部の美のめぐり”を非接触で可視化
“肌内部の美のめぐり”という新規コンセプトの理解促進のために開発された、店舗カウンセリングツール「Beauty Alive Circulation Check」にも注目したい。カウンターカウンセリングにおいて、美のめぐりという視点で顧客の肌を測定してコンサルテーションを行うためのツールだ。

メイクオフせずに、非接触で皮膚の表面温度を測定し、肌内部の美のめぐりの状態のほか、透明感、ハリ・弾力、なめらかさの3つの要素を測定する。「生命感あふれるつややかな肌」のための3大要素を(1)透明感あふれる輝き、(2)ハリ・弾力、(3)キメの細やかさ・なめらかさと定義し、そのバランスが「アルティメートトライアングルスコア」の三角形で表示される。測定結果に基づき、顧客に最適な商品を提案する形だ。

国内約50店舗のほか、「SHISEIDO GLOBALFLAGSHIP STORE」でも提供中。年齢、性別、肌の色やタイプに関わらず利用できることから、2021年7月1日から順次グローバルでもこのツールをフックにした顧客カウンセリングを展開しているという。
研究員とマーケティング担当者の連携体制がカギ
キャンペーンローンチ後の各国での販売成果は非常に好調だという。外資系ブランドでの消費財・コスメティックブランドのマーケターキャリアも経ているという山ノ井氏。資生堂の強みを問うと、研究開発とマーケティング部門の距離の近さを挙げた。
「研究レベルが高いことはもちろんですが、研究員とマーケティング担当者が密に、近い距離で製品の機能、コンセプトなどについてコンセンサスを取れることかと思います。資生堂ではその連携が非常に強く、研究開発者が高い意識をもってマーケティング活動にも加わってくれます。結果、打ち出すコンセプトが製品をきちんと表現でき、本当にいいものを、最もいい形で世に出すことができていると思います」(山ノ井氏)
どんなによいコンセプトを打ち出しても、そのコンセプトを製品が体現していなければ消費者に選ばれ続けることはないだろう。またその逆も然りで、どんなに製品がよくてもコンセプトへの共感を得ることができなければ、多くの人に選ばれるのは難しいだろう。研究員とマーケティング担当者の強固な連携体制も、資生堂の大きな強みと言えそうだ。