SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

リゾームマーケティングの時代

2022年、フィンテック・アドテック・プライバシーテックの融合で生まれる新たなビジネスチャンス

「“本物”と“偽物”をどう見分けるか」が課題に

 フィンテック領域では、個人のお金が絡むのでより厳格な対応が要求される。本人の知らないところで、勝手にスマホのウォレットアプリから税金の自動引き落とし設定などをされると困る。本人が設定したのかどうか? 本人の同意済みなのか?

 オリジナルとコピー。本物と偽物。「何がオリジナルで何が本物なのか?」eKYCなどの技術もあわせて、「本人確認、本人認証、本物の本人の同意取得済みなのか?」それが我々に突き付けられた課題だ。

 フィンテック・アドテック・プライバシーテックが連携するところに、「意味」と「価値」が生まれ、ビジネスチャンスが転がっている。だから、虎視眈々と狙っている人たちも多い。

 だが、ここでは、オリジナルかつ本物の本人による同意取得が証明できないケース、たとえば、コピーされた個人データの懸念もあるし、成りすましの偽物の同意取得かもしれない訳で、その場合、残念ながら、「意味」も「価値」も生まれない。あるいは、制裁金などの処罰の対象にもなるのだ。どうやって、「意味」と「価値」を作っていくのか。業界全体のチャレンジでもある。

本物のコピーを可能にする、デジタル技術

 そして、最先端のデジタル技術の一つに、DNAとゲノムの領域がある。

 『タイム』誌が2014年に「世界で最も影響力のある100人」の一人に選出し、さらに2018年に「医療におけるトップ50人」の一人にも選出した、ハーバード大学医学大学院遺伝学教授、デビッド・A・シンクレア氏は著書の中で、DNAがデジタル情報だからこそ、若返ることができると主張している。

 「クローン技術が見事に証明している通り、私たちの細胞は若い頃のデジタル情報を高齢になっても保持している。若返るためには、傷を取り除く研磨剤を見つけさえすればいい。そしてそれは見つかると、私は確信している」(『LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界』デビッド・A・シンクレア,マシュー・D・ラプラント著)

 DNAはデジタルデータであって確実にコピーできるからこそ、体細胞のリプログラミング(ある意味で、若返り)の可能性も理論的にあり得るし、当然、クローンも可能になる。

 「DNAはデジタル方式なので、情報の保存やコピーを確実に行うことができる。途方もない正確さで情報を繰り返し複製できる点においては、コンピュータメモリやDVD上のデジタル情報と基本的に変わらない」とデビッド・A・シンクレア氏は書いている。

次のページ
本物と偽物――2つの相互関係の中にビジネスチャンスがある

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
リゾームマーケティングの時代連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/12/16 08:00 https://markezine.jp/article/detail/37962

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング