アドブロックを使い始める若者達
マクロミルのアプリログデータ(許諾を得たユーザーからアプリのログデータを提供いただくサービス)から、アドブロック関連のアプリを19個抽出してみました(※1)。2019年6月から2021年10月にかけて、アドブロック関連アプリの保有率は倍以上に伸びており、日本の保有人口を推計すると、約330万人が使っていることが分かります(※2)。

これは、あくまでアプリとしてアドブロックサービスが提供されているもの限られ、Google ChromeやSafariの拡張機能を使ったものは含まれていません。皆さんはこの数値をどのように捉えるでしょうか。
これを性年代別で見ると、女性よりも男性の保有率が高く、特に10代から40代の利用が進んでいるようです。また、職業別に見ると、学生の保有率が高くなっており、学生世代が数年後に社会人になるということを踏まえると、今から考えるべき課題だと思います。


どっちに転んでも負けないYouTube
アドブロックと同様に広告が掲載されない仕組みとなっているYouTubeプレミアムにどのくらいの人が加入しているのかを見てみたいと思います。
2021年12月に2,626人に対して実施したアンケート結果によると、YouTubeプレミアムへの加入率は8.9%でした。特に男性は10%を超え、その中でも10代から30代が高い数値を出しています。私の肌感よりも加入が進んでいる印象でした。

またYouTubeは2021年6月、動画を投稿し収益を得るパートナーになっていないYouTubeパートナーのチャンネルにも広告が表示されるようになりました。これにより広告在庫を増やしていると考えられます。YouTubeプレミアムで月額課金の収益を獲得し、更にはYouTubeプレミアムによって掲載できなくなった在庫を広告在庫の拡大施策で補い単価の下落も避けることができる、まさにどちらに転んでも負けないメディア戦略と言えるかと思います。
今回は、CookieやデバイスIDなどのデジタルマーケティングでのシンクKeyがプライバシー保護の観点から、基本的には取得するために許諾が必要となっていく動きを様々な領域、プレイヤー、またユーザー意識から現在地を見ていきました。次回は規制の先にある「どのようなデジタルマーケティングになっていくのか?」を話したいと思います。
※1:Google Playで定義されている「通信」「ツール」「仕事効率化」カテゴリ内の以下19個のアドブロックアプリを分析対象とした。(Brave、無料広告ブロッカーブラウザ、Adblockブラウザー、Vivaldiブラウザ、さくらブラウザ、Adblock(AdBlock Block All Ads)、CM Browser(Cheetah Mobile)、Vanced Kit、ユニコーン、AdGuard、Pure Web Browser、AdBlock for Samsung Internet、シークレットブラウザ、AdShield、Adblock(Rucksack Mobile App Development)、CM Browser(Kadamakini)、Crystal Adblock for Samsung、Acblock Plus for Samsung Internet、SPEAR-AdBlocker)
※2:「人口推計(総務省統計局)」、「通信利用動向調査(総務省統計局)」、マクロミルモニタとその家族を対象とした標本調査の結果を基にマクロミルにて独自に推計。
調査分析概要
【1】プライバシー意識に関する調査
調査方法:インターネットリサーチ
調査地域:全国
調査対象:15歳以上(中学生を除く)
サンプル数:3,000サンプル
割付条件:男女×年代(15-24歳、25-34歳、35-44歳、45-54歳、55-64歳、65歳~)を均等割付
調査期間:2021年8月【2】アドブロックアプリの実態把握分析
使用データ:スマートデバイスのアプリケーション利用ログデータ
データ抽出期間:2019年6月1日~2021年10月31日
分析対象:Androidデバイスを保有するスマートフォンアプリモニタ 全国の男女15~69歳
サンプル数:2021年10月時点51,863サンプル
※マクロミルが独自に推計するスマートデバイス インターネット利用人口にウエイトバック【3】YouTubeプレミアム加入状況把握調査
調査方法:インターネットリサーチ
調査地域:全国
調査対象:15歳以上(中学生を除く)~59歳以下
サンプル数:2,500サンプル
割付条件:男女×年代(10歳刻み)×エリアをネット人口構成比率に基づきに割付
調査期間:2021年12月