オンラインでは通用しないGNP
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年の春頃から法人営業やBtoBマーケティングはこれまでの慣習を大きく変えざるを得ませんでした。対面での顧客接触機会が多かったものが、非接触・リモート業務に大きくシフトする結果となったのです。
ITバブルから20年。BtoB領域でのIT化が経営課題と長らく言われ続けてきました。多くの経営者が熱心にこの問題へ向き合い続けてきましたが、2020年の社会情勢によりIT化や非接触営業の波が劇的かつ強制的に進みました。徐々に起きた変化ではなく、一気に変わってしまったことがさまざまな混乱を招いた、と感じています。たとえば、非接触での営業を余儀なくされる社会において、これまでBtoBマーケティング領域で伝統的に使われ「GNP」と呼ばれてきた、義理(G)、人情(N)、プレゼント(P)がうまく機能しなくなりました。
あの会社とは長い取引があるから、連絡が来たら会おう。彼/彼女はいい人だしいつもお世話になっているから会おう。「あれをお持ちします」などのプレゼントや、会食で話をしよう。と、このようなGNPが容易に使えなくなってしまったのです。
GNPはオンラインでは思うような効果が出ないと言われています。GNPがオンラインでの面会の理由にはなりにくい。その理由は明らかではないですが、私自身もやはり義理でオンライン面会するにはアポを取る側でも受ける側の立場でも違和感があります。不思議ですね。
非対面型BtoBマーケティングで必要な3つの基本要素
2020年の社会情勢に変化が起きてから、非接触の営業を取り組む企業が増え、そしてGNPが十分に使えなくなった今、BtoBマーケティングを推進している企業のニーズが大きく変わってきたことを実感しています。
カイロスマーケティングではマーケティングオートメーション(MAツール)の開発と販売をしています。中小企業を中心に、BtoBマーケティングに取り組む多くのお客さまに商談の機会をいただいてきました。特に2020年以降は、お客さまからの非接触営業に関するお問い合わせやご要望を数多くいただくようになりました。そのニーズやご要望は、およそ3つに分類できます。
それが、「顧客管理」「メルマガ」「インサイドセールス」です。また、それぞれのニーズはおよそ同じ比率です。
「顧客管理」も「メルマガ」も「インサイドセールス」も、ITを活用したマーケティングや営業の手法であり、特に新しさがあるとも言い難いです。これらが課題となっていることは、これまで展示会や対面型の飛び込み営業などの非IT型の営業やマーケティング活動を中心にしてきた企業において、営業やBtoBマーケティング手法のIT化というニーズが浮き彫りになってきたと言えるのではないでしょうか。
次のページから、少し具体的に「顧客管理」「メルマガ」「インサイドセールス」の課題や現状を見ていきましょう。