※本記事は、2022年1月25日刊行の定期誌『MarkeZine』73号に掲載したものです。
改正個人情報保護法で何が変わるのか
今、企業のマーケティング担当者の間で急務となっているのが、2022年4月1日に施行される改正個人情報保護法への対応だ。改正個人情報保護法は、Cookieデータや個人情報の取り扱いについて規定された令和2年改正に加え、民間と行政・独立行政法人で別々だった個人情報の取り扱い規定が令和3年改正で追加・統合されて同時に施行されるため、より複雑な内容となっている。
セミナーに登壇した弁護士法人GVA法律事務所弁護士/シニアアソシエイトの阿久津透弁護士によると、改正個人情報保護法は大きく6つの側面で改正されているという。「個人の権利の在り方」「事業者の守るべき責務の在り方」「事業者による自主的な取組を促す仕組みの在り方」「データ利活用に関する施策の在り方」「ペナルティの在り方」「法の域外適用・越境移転の在り方」の6つだ。それぞれの詳細については、公開済みのガイドラインとQ&Aで確認できる。
阿久津弁護士はこの改正内容を前提に、マーケターが取るべき対応について具体例を交えて解説した。
意外と知らない「個人情報」とは何を指す?
そもそも、個人情報保護法で「個人情報」はどのように定義されているのか。
通常、個人情報というと「氏名や生年月日、住所など個人を識別できる情報」や「マイナンバーカード」のようなものだと捉えられがちだ。阿久津弁護士は、「個人情報とは、大前提として『生存する個人に関する情報』であることを認識しなくてはなりません」と注意を促す。
続けて「個人情報とは、氏名や連絡先という要素を指すのではなく、『個人に関する情報』という大枠があり、そのなかに氏名や連絡先などが含まれていて特定の個人を識別できる、この全体を個人情報と定義しています」と説明する(図表1参照)。
今回の改正法では、個人情報データベースを構成する「個人データ」や、個人情報を取り扱う事業者が内容の訂正・追加・削除の権限を持っている「保有個人データ」などの定義も改正されているので、併せて確認しておくことが大切だ。それぞれの関係性に関しては、図表2で示すように、「個人情報>個人データ>保有個人データ」という位置付けとなっている。