Googleが「FloC」を廃止し、新たに「TopicAPI」を発表
……と執筆を進めていたところ、Googleは2022年1月26日、「FloC」を廃止し、新しい「TopicAPI」を発表しました。これは、Webブラウザが、閲覧履歴に基づき「トラベル」「フォットネス」など、その週に興味関心が高かったトピックを選定し、広告表示に活用するというものです。
この「トラベル」「フィットネス」といったトピックは3週間ほど保持されたのち、古いものは削除されていくのですが、TopicAPIに参画しているサイトは、Web来訪したブラウザの保有するトピックの一部を取得可能となるというものです。ユーザー側もブラウザの設定で自分がどのトピックに判定されているかがわかり、ブラウザ上で特定のトピックを削除、または完全にオフすることも可能だといいます。注目度の高いプロジェクトですので、今後の動向を見ていきたいと思います。
(2)APP編
APPについてもAppleは自主的に規制をしています。2021年から、iOS端末の広告における識別子であるIDFA(Identification For Advertisers)の取得について、「許諾する」ボタンを押してもらわないとデータ取得ができないオプトイン形式に変更となりました。これは、ATT(App Tracking Transparency)といいます。
また、この他にもiOSの仕様としてIDFAをリセットしやすくなっている導線設計の傾向もあり、データを繋げるKeyとしての役割は難しくなってきています。同じ事業者内であれば、ユーザーからの許諾が要らないIDFV(Identifier For Vender)という仕組みが提供され、こちらでデータをつなげていくことができます。当社の場合も複数のAPPをサービス運用していますが、ユーザーにログインしていただき使うサービスなので、メインでは事業者独自で使っているIDで運用をしています。
ATTの影響は調査会社にも
ちなみに、日本での広告識別子の許諾率はどれくらいなのでしょうか? 弊社には弊社が取得している実データ以外にデータがないため、AppsFlyre社のレポートを参照したところ、許諾率は36%前後とのことです。弊社の場合、ユーザーからデータをご提供いただくという前提には「マーケティング活用のためのデータ提供にご協力いただく」という意味合いもあるため、この36%というスコアよりも高い数値を、ATT実施初期から現在に至るまでキープしています。(参考:マクロミル公式note『 130万人のアンケートモニターとのコミュニケーション施策 ~iOSアプリのIDFAオプトイン率57.6%達成の裏側~』)
弊社では、広告の接触有無を踏まえアンケートを実施し、その広告効果を比較、把握するブランドリフト調査を提供しています。そこで広告を配信するメディアとのシンクが可能な、このIDFAが必要となっています。ただ、広告を配信する側のメディアにおける許諾率は高くないため、この2社間でのシンク数は今までより相当に低くなってしまっている現状もあり、我々のような調査会社にもATTの影響は及んでいます。
グローバルプラットフォーマーには影響が少ない?
では、Google、Facebook、Amazonなど、広告事業を積極的に行っているグローバルプラットフォーマーには影響があるのでしょうか。いずれも自社メディア以外や自社APP以外をつないだアドネットワークを持っているため、一部リマーケティング含むターゲティングが難しくなったり、フリークエンシー含めた配信コントロールも難しくなったりします。
しかし、彼らは自社のIDを保有し、自社サービスやメディアにログインした状態でいることが通常であり、その中でオプティマイズやリコメンドされたコンテンツや商品を掲載しています。GoogleであればGoogleIDでログインするサービスが大半を占めますし、その恩恵も受けています。Googleを利用されている方は、変わらずターゲティングされた広告が掲載されることになります。Facebookも、InstagramやMessenger、WhatsAppと自社IDやIDFVで連携できるのでその範囲であれば影響は少ないと言えるかと思います。
