7つの消費欲求区分や43業種別に消費動向を分析
MZ:Custella Trendでは、三井住友カードが保有するキャッシュレスデータを基に、消費トレンドの分析結果をレポート形式で毎月無料配信しているそうですね。具体的にどのような情報が掲載されているのでしょうか。
荒木:月次の定型レポートでは「キャッシュレス消費トレンド」「消費欲求区分ごとの推移」「コロナ前後での消費行動分析」「業種別の動向」という4章構成で情報をまとめています。1章では、前月までのカード決済金額と決済件数の推移を可視化し、年代別・居住地別のグラフとそこから読み取れるマクロ消費トレンドを添えています。
荒木:2章では衣、食、住、生活・健康美容、旅・移動、遊・学、オンラインという7つの欲求区分に沿って、それぞれの決済金額などをグラフ化。3章ではコロナ禍で複雑化する消費行動の変化を「オンライン利用」と「お出かけ範囲(購買場所と自宅との距離)」という2つの指標の増減を紐解くほか、年代別・居住地別のページではコロナ禍以前の同月と比較を行っています。
荒木:4章では2章の7つの欲求区分をさらに深掘りし、我々が定義する43業種別に直近の動向を分析。具体的には直近3ヵ月の状況や決済金額、客数、客単価の推移、その業種の利用者を対象とした他業種での決済金額ランキングなどを掲載しています。
MZ:定型レポートとは別にスポットで出している「特別号」もあるとうかがいました。特別号ではどのような内容を扱っているのでしょうか。
荒木:「リアル店舗とオンラインの消費番付」や「関東と関西の消費傾向の違い」など、定型レポートよりもさらに深い分析を行っています。
Custella Trendが読み解く2021年の消費動向
MZ:コロナ禍2年目に突入した2021年。引き続き厳しい状況に置かれている業種がある一方で、消費が回復しつつある業種も増えています。Custella Trendでは2021年の消費トレンドをどのように捉えているのでしょうか。主要なトピックをお教えください。
荒木:大きなトピックが3つあります。1つ目は、コロナ禍の勝ち組ともいえる日常消費系の業種の伸びです。キャッシュレスの伸びもあり、スーパーやホームセンター、家電量販店などが好調で、直近3ヵ月の2019年同月比は軒並み増加しました。またペット関連も好調で、飼育家庭の増加にともない家庭におけるペット関連費の支出が増えています。
荒木:2つ目のトピックは、コロナ禍で打撃を受けた旅行、貴金属・時計、エステ・美容、百貨店などの非日常業種が回復基調に入っていることです。これらは“ぜいたく品”と呼ばれ、コロナ禍直後は消費が大きく減りましたが、直近3ヵ月は2019年同月比で増加しています。株価の上昇もあって高額品を買う人が増えていることや、富裕層が国内でお金を遣うようになったことが要因として挙げられるでしょう。
荒木:3つ目は、オンラインシフトの加速です。加速の背景には、これまでオンラインで消費活動をしていなかった高齢者による利用の増進があります。2020年1月の消費欲求区分シェアにおいて70代以上のオンラインの売上が10%であったのに対し、2021年と2022年はともに19%まで伸長し、60代でも類似の傾向が見られました。